1997年11月12日 東京 − (社)トロン協会 ITRON専門委員会は、情報家電 などの組み込みシステム向けに、ITRON仕様のリアルタイムOSとJava実行環境 (Java Application Environments) の間のインタフェース仕様の標準化を行う ために、「Java Technology on ITRON-specification OS 技術委員会」を発足 させることを発表致します。活動開始時のメンバは、(株)アプリックス、沖電 気工業(株)、(株)東芝、日本シグナスソリューションズ、日本電気(株)、(株) 日立製作所、富士通(株)、三菱電機(株)、メトロワークス(株)、ヤマハ(株)で す。委員会の成果は、1997年度末までに取りまとめて公表する予定です。
最近、情報家電などの組み込みシステム分野においても、Java技術の重要 性が増しています。すでに複数の委員会メンバ会社やサードパーティにより、 ITRON仕様OS上にJava実行環境が実装されていますが、参考とすべき標準仕様 はありませんでした。この技術委員会では、Java実行環境上のプログラムと ITRON仕様OS上のタスクが通信するためのインタフェースや、Javaのスレッド をITRONのタスク上に実現する方法に関して標準化を行います。また、Java実 行環境を実装するために、ITRON仕様OSに追加すべき機能があればそれを洗い 出し、次のバージョンのITRON仕様の検討の参考にする予定です。
ITRON専門委員長の田丸喜一郎は、「Java実行環境をITRON仕様OS上に実装 する方法が標準化されることで、使用するマイクロプロセッサを限定されるこ となく、JavaとITRONの両方の利点を活用したアプリケーション設計が可能に なります。すなわち、Javaの利点であるダウンロード可能なマシン独立なソフ トウェアや優れたGUIと、ITRONの利点である高速なリアルタイム応答性の両方 を活用したアプリケーション開発が可能になります。」と述べています。
サン・マイクロシステムズ社は、この委員会の活動に対して支援を表明す るとともに、情報家電や組み込み市場に対し、Javaテクノロジーの普及を支援 することを表明しています。
サン・マイクロシステムズ社の事業部門であるJavaSoft社の副社長 Jon Kannegaard氏は、「ITRON専門委員会が、組み込みシステムや情報家電の分野 における標準化を行うために、Java技術に特化した委員会を作られると聞いて 嬉しく思います。この委員会で作られる標準仕様は、アプリケーション開発者 に、スケーラブルで使い勝手の良いJavaベースのグラフィカルユーザインタフェー ス (GUI) と、強力で拡張可能なITRON仕様のリアルタイムオペレーティングシ ステムの効率的な統合を可能にするものとなるでしょう。」と述べています。
ITRONは、組み込みシステムのための、一連のリアルタイムOS仕様の名称で す。その中で、小規模な組み込みシステム用に設計されたμITRON仕様に基づ いて数多くの製品が開発されており、また極めて多くの製品に利用されており、 この分野における業界標準仕様となっています。ITRON仕様は、TRONプロジェ クトの1つのサブプロジェクトとして、(社)トロン協会のITRON専門委員会によっ て検討・設計されているものです。詳しくはITRON ホームページ http://tron.um.u-tokyo.ac.jp/TRON/ITRON/をご覧くださ い。