ITRON専門委員会では、今年度も昨年度と同様に、組み込みシステムの開発 技術者を主な調査対象として、ITRON の利用動向に関するアンケート調査を実 施いたします。アンケート調査票は、11月から12月にかけて郵送などの方法で 配付する予定です。また昨年同様、ITRONホームペー ジでも、アンケートに回答できるようにする予定です。調査結果について も、ITRONホームページからアクセスできる形で公開します。
調査の結果は、ITRON 仕様に関する広報や、プロジェクトの今後の方針決 定に役立てたいと考えています。何卒ご協力いただけるようお願い申し上げま す。
IEEE Computer Sociery Press から、μITRON の仕様書・解説書である "μITRON3.0: An Open and Portable Real-Time Operating System for Embedded Systems" が出版されます。この本は、海外に対して ITRON仕様 を普及させるために以前より出版作業を進めていたもので、「μITRON3.0標準 ハンドブック 改訂新版」とほぼ同様の内容となっています。購入を希望され る方は、IEEE Computer Society かトロン協会までお問い合わせ下さい。ご活 用下されば幸いです。
この度 ITRON専門委員会では、ITRON仕様のリアルタームカーネル上で Java の実行環境を実装する場合のインタフェースの標準化を行うために、 "Java Technology on ITRON-specification OS" 技術委員会を発足させました。
最近組み込みシステム分野においても Java の技術が重要視されるように なってきており、ITRON仕様カーネル上に Java の実行環境を実装したシステ ムも複数開発されています。この技術委員会では、Java 実行環境上のプログ ラムと ITRON仕様カーネル上のタスクが通信するためのインタフェースや、 Java のスレッドと ITRON のタスクとの対応付けに関して標準化の検討を行い、 今年度末をメドに成果を取りまとめる予定です。また、Java の実行系を実装 するために、ITRON仕様カーネルに追加すべき機能があればそれを整理し、次 のバージョンのカーネル仕様の検討の参考にする予定です。
1997年10月1日時点で、ITRON専門委員会が編集し、発行されているITRON関 連の書籍は別表の通りです。ご希望の方は、各発売元にお問い合わせ下さい。
μITRON3.0標準ハンドブック 改訂新版には、μITRON3.0仕様の最新バージョ ン (Ver 3.02.02) が収められています。旧版のμITRON3.0標準ハンドブック (Ver 3.00.00) から Ver 3.02.00 への改訂点は、ITRON標準ガイドブック2 に 掲載されています。Ver 3.02.00 から Ver 3.02.02 へは、構成の変更や説明 の追加だけで、仕様の技術的な内容の変更はありません。
ITRON・μITRON標準ハンドブックは、μITRON Ver 2.0 と ITRON2 の仕様 書を1冊にまとめたものです。ITRON標準ガイドブック2 は、μITRON3.0仕様を メインのターゲットとして作成されています。ITRON標準ガイドブック'92-'93 は、タイトルの期間を過ぎていますが、μITRON仕様 Ver 2.0 や ITRON2仕様 を使われている場合には、現在でも有効に活用できます。
書籍名 | 分類 | 価格 | 発売元 | 発行年 | ISBN番号 |
---|---|---|---|---|---|
ITRON・μITRON標準ハンドブック | 和文仕様書 | 4,800円 | パーソナルメディア | 1990 | ISBN4-89362-079-7 |
μITRON3.0標準ハンドブック 改訂新版 | 和文仕様書 | 4,000円 | パーソナルメディア | 1997 | ISBN4-89362-154-8 |
ITRON/FILE標準ハンドブック | 和文仕様書 | 3,000円 | パーソナルメディア | 1992 | ISBN4-89362-092-4 |
ITRON標準ガイドブック'92-'93 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1992 | ISBN4-89362-197-6 |
ITRON標準ガイドブック2 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1994 | ISBN4-89362-133-5 |
μITRON Specification Ver 2.01.00.00 | 英文仕様書 | 12,000円 | トロン協会 | 1989 | − |
ITRON2 Specification Ver 2.02.00.10 | 英文仕様書 | 15,000円 | トロン協会 | 1990 | − |
μITRON3.0 Specification Ver 3.02.00 | 英文仕様書 | − | トロン協会 | 1994 | − |
ITRON専門委員会では、9月29日(月)〜10月2日(木) に米国カリフォルニア 州 San Jose の San Jose Convention Center で開催された Embedded Systems Conference (ESC) においてブースを出展し、ITRON仕様に関する広報を行 いました。またその会期中の 10月1日(水) には、展示会場近くのホテルにお いて ITRON Supporters' Meeting を開催し、ITRON に関連する最近の状況な らびに標準化活動について紹介するとともに、米国において ITRON仕様の製品 やそれに関連する製品を開発している企業によるプレゼンテーションを行いま した。
ITRON専門委員会では、1995年から毎年この展示会に出展していますが、今 回は (社)日本システムハウス協会 (JASA) と共同でブースを出展しました。 ブースでは、ITRON仕様について紹介するパネルと ITRON仕様製品の一覧を掲 載したパネルを掲示し、ITRONホームページやμITRON3.0 の英文仕様書 (HTML 版) を読めるようにしたパソコンを設置しました。また、例年同様、ITRON の ロゴと "We Support ITRON Specification OS" の文字の入ったスタンド (20cm×20cm 程度の大きさの自立式のパネル) を、別表の 23社のブースに置 かせて頂き、ITRON仕様の知名度アップに役立てました。
ITRON Supporters' Meeting は、ITRON 関係の会議として米国で初めて開 催したものです。会議の概要は次の通りです。
会議室での昼食に続いて、12時15分にトロン協会米国リエゾンオフィスの Jim Farrell氏の挨拶で会議を開始しました。続いて、ITRON専門委員長/(株) 東芝の田丸喜一郎氏による ITRON仕様OSの利用状況とそれを取り巻く日本の組 み込みマーケットの状況についての講演、ITRON専門委員会/東京大学の高田 広章氏による ITRONプロジェクトの最近の活動状況についての講演を行いまし た。その後休憩をはさんで、ITRON仕様の製品や ITRON仕様OS をサポートする 製品を開発しているなど、ITRONプロジェクトをサポートしている米国企業 8 社から、各社の取り組み状況について簡単に紹介を頂きました。会議には、講 演者や ITRON専門委員会の関係者も含めて約70名の参加があり、米国で初めて 主催する会議としては大きな成功をおさめたと考えています。
来年の Embedded Systems Conference は、11月1日(日)〜11月5日(木) に、 今年と同様 San Jose Convention Center に於いて開催される予定で、ITRON 専門委員会でもブースの出展を予定しています。また、3月31日(火)〜4月1日 (木) には Embedded Systems Conference Spring (ESC Spring) が Chicago で、9月には Embedded Systems Conference Europe (ESC Europe) が英国にお いて開催される予定です。ESC Spring の有料のセミナーでは、東京大学の高 田広章氏が、"Designing Small-Scale Embedded Systems with μITRON Kernel" というタイトルの講演を行う予定となっています。
CAE Plus, Inc. CARDtools Systems Corelis, Inc. Cygnus Solutions Densan Co., Ltd. Fujitsu Microelectronics, Inc. Gaio Technology Co., Ltd. Green Hills Software, Inc. Hitachi America, Ltd. LSI Logic Metrowerks Corp. Microtec - A Mentor Graphics Company |
Mitsubishi Electronics America, Inc. National Semiconductor NEC Electronics, Inc. Panasonic Industrial Co. Sanritz Automation Co., Ltd. Sophia Systems and Technology Spyglass, Inc. TASKING, Inc. Toshiba America Electronics Components, Inc. US Software Yokogawa Digital Computer Corp. |
10月7日(火) に、Karlsruhe (ドイツ) で開催された OSEK/VDXプロジェク トのワークショップ (正式名称: 2nd International Workshop on Open Systems in Automotive Network) で、ITRON専門委員会/東京大学の高田広章 氏が、ITRON プロジェクトについて紹介する講演を行いました。講演では、 ITRON仕様OS の概要について紹介するとともに、ITRON仕様OS の自動車応用に 関する取り組みを紹介し、OSEK/VDXプロジェクトと協力していきたい趣旨を説 明しました。
OSEK/VDX プロジェクトは、ヨーロッパにおいて自動車制御用のリアルタイムOS や 通信プロトコルの標準化をおこなっているプロジェクトです。今年の7月に開 催した ITRONオープンセミナーには、OSEK/VDXプロジェクトの chairman であ る Karlsruhe大学の Uwe Kiencke教授を招待し、ITRON との協力関係について 意見交換を行っていました。今回のワークショップには、予想を越える 200名 近くの参加者があり、OSEK/VDXプロジェクトが国際的な注目を集めていること が再確認されました。
ここでは、ITRON仕様準拠製品登録制度に最近登録された製品の内、前号で 紹介できなかった MR32R について簡単な紹介を行います。
MR32R は、三菱電機株式会社製 32ビットRISC型マイクロコンピュータ M32R/Dシリーズに対応したμITRON仕様準拠のリアルタイムOSです。
μITRON仕様 V.3.0に準拠しており、レベルR・レベルSのすべての機能及び レベルEの一部の機能をサポートしています。
wup_tskシステムコールでは、割込み禁止時間約4μ秒・タスク切り替え時 間約7μ秒という高いリアルタイム性を実現しました。(外部16.65MHz内部 66.6MHz・キャッシュONで測定)
OS のライブラリをリンクするだけで使用するシステムコールだけが組み込 まれ、常に最小サイズのシステムを生成します。OSカーネルのサイズは、最小 約3Kバイト、最大約17Kバイトです。
割り込みハンドラは、通常の関数として、記述するだけです。OSへの登録 も割り込み要因の数・割り込みハンドラのエントリーポイントを指定するだけ で初期設定ツール cfg32R が必要なファイルを自動的に生成します。
弊社製 M32Rクロスツールキット CC32Rに対応した、C言語用インタフェー スライブラリを装備していますので、C言語によるアプリケーションの開発が 可能です。
タスク・イベントフラグなどの OS の資源の初期設定を C言語ライクに記 述したファイルから、OSへの登録に必要な各種初期設定ファイルを自動的に生 成するツール cfg32R を装備しました。
三菱電機セミコンダクタシステム株式会社
マイコンソフトツール部 ツール第一課
〒564 大阪府吹田市豊津町1-18 エクラート江坂ビル
TEL: 06-338-5572
FAX: 06-338-4471
※ 10月1日付けで問い合わせ先が三菱電機セミコンダクタソフトウェア株式会 社から変更されました。
ここでは、ITRON に関連する開発ツールやミドルウェアについて、簡単な 紹介をします。
弊社の ICEシステムである MultiSTAC において、ITRON 並びに μITRONの サポートを実施しております。リアルタイム性を損なう事なく、またターゲッ ト資源になんら制限を与えることなく OS の動きを監視・表示する事が可能で す。
現在は、日立・NEC・IBM・モトローラに対応する製品にて標準サポートを 実施しており、MultiSTAC に標準添付されている Win95/NT 対応のソースレベ ルデバッガ、Watchpint においてご利用頂けます。
株式会社 ソフィアシステムズ
〒163-08 東京都新宿区西新宿2-4-1 新宿NSビル 8F
TEL: 03-3348-7001
FAX: 03-3348-2446
情報処理学会の学会誌である「情報処理」の 1997年10月 号は、「組込みシステム開発の現状」を特集しています。特集の最初の解説記 事である、中本幸一 (NEC)、高田広章 (東京大学)、田丸喜一郎 ((株)東芝) の 3氏による「組込みシステム開発の現状と動向」の中に、ITRON に関連した 記述が出てきます。その他にも、ITRON 関連の活動に参加されている方が執筆 されている解説記事があります。また、高田広章氏が特集の編集を担当し、 「編集にあたって」を執筆しています。
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