(社)トロン協会 ITRON専門委員会
〒108-0073 東京都港区三田1丁目3番39号 勝田ビル5階
TEL: (03) 3454-3191 FAX: (03) 3454-3224
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ITRON専門委員会では、1997年11月に Java Technology on ITRON-specification OS 技術委員会を発足させ、ITRON仕様のリアルタイムカ ーネルと Java実行環境 (Java Application Environments) の間のインタフェ ースの標準仕様を検討してきましたが、この度その検討結果を JTRON2.0仕様 として公開することとなりました。
最近、組み込みシステムの分野においても、Java の技術が注目を浴びてい ます。Java実行環境は、ネットワークからダウンロードしたプログラムを安全 に動作させることができる、グラフィックスを用いたユーザインタフェース (GUI) を容易に構築することができる、といった利点がある一方で、バイトコ ード処理系のオーバヘッドやガベージコレクションの必要性から、リアルタイ ム処理には向かないとされています。そこで、ITRON仕様カーネル上に Java実 行環境を実装し、アプリケーションシステムを、Java に向いた部分は Javaプ ログラム、ITRON仕様カーネルに向いた部分は ITRONタスクの形で構築するこ とで、両者の利点を活用するアプローチが有力と考えられています。
ここで問題になるが、Javaプログラムと ITRONタスクが通信するためのイ ンタフェースです。このインタフェースを標準化しないと、Java の特長であ るポータビリティが失われることになります。今回公開する JTRON2.0仕様は、 このインタフェースの標準を定めたものです。具体的には、Javaプログラムか ら ITRON仕様カーネルの資源をアクセスするためのインタフェース (タイプ1)、 JavaプログラムとITRONタスクで、Java のオブジェクトを共有するためのイン タフェース (タイプ2)、JavaプログラムとITRONタスクがストリームで通信す るインタフェース (タイプ3) の3種類の通信インタフェースが標準化されてい ます。この内タイプ1のインタフェースは、1997年12月に公開された最初の JTRON仕様 (JTRON1.0仕様) で定められているもので、今回公開する JTRON2.0 仕様には含まれていません。
JTRON2.0仕様は、ITRONホームページから ダウンロードすることができます。今後、ITRON仕様セミナーや、国内外の組 み込みシステム分野の展示会やセミナー等において、JTRON2.0仕様の普及・広 報活動を行っていく予定です。
なお、現在検討が進められているμITRON4.0カーネル仕様がフィックスし た時点で、JTRON2.0仕様をそれに整合するよう微調整することを予定していま す。また、タイプ1のインタフェースをμITRON4.0仕様にあわせて修正し、 JTRON2.0仕様に盛り込む予定です。
ITRON専門委員会では、最新の ITRON仕様を詳細に解説することを目的とし て、10月14日(水)に東京において ITRON仕様セミナーを開催します。
今回のセミナーでは、今年5月に公開した ITRON TCP/IP API仕様と、この 度公開した JTRON2.0仕様について、それぞれの標準仕様策定に中心的な役割 を果たしたメンバが、仕様の設計方針やその詳細、仕様決定の理由などについ て解説を行います。また、質疑応答の時間も十分にとることを予定しています。 これらの仕様に準拠した製品の開発ないしは利用を予定・検討されているソフ トウェア技術者が、主な対象となります。
セミナーの開催要領は次の通りです。
なお、最終的なプログラムおよび参加申し込み方法については、ITRONホームページを参照するか、(社)トロン協 会 ITRON仕様セミナー担当 (TEL: (03) 3454-3191, FAX: (03) 3454-3224) ま でお問い合わせ下さい。多数のご参加をいただければ幸いです。
ITRON専門委員会では、ITRON仕様の海外への普及活動の一環として、11月4 日(水)に米国カリフォルニア州 San Jose において、ITRON International Meeting を開催します。
今回のミーティングは、組み込みシステム分野の展示会としては世界最大 規模の Embedded Systems Conference (ESC) の開催にあわせて開くもので、 ESC の会期中の11月4日に、ESC が開かれる San Jose Convention Center の 近くの Hyatt Sainte Claire ホテルにおいて開催します。主に米国において ITRONプロジェクトに興味を持つ方を対象として、ITRONプロジェクトの最新の 状況をお知らせするとともに、米国において販売されている ITRON仕様準拠/ 関連製品の紹介を行うことを主な目的としています。また、ITRONプロジェク トに対する意見を聞く場にしたいと考えています。同様のミーティングは、昨 年の ITRON Supporters' Meeting に続いて2回目の開催となります。
また ITRON専門委員会では、例年同様 ESC にブースを出展し、ITRON仕様 に関する広報活動を行います。ブースは、昨年と同様、(社)日本システムハウ ス協会 (JASA) との共同出展となります。今年の ESC の会期は昨年より1ヶ月 程度遅めの 11月2日(月)〜5日(木) で、会場は例年と同じカリフォルニア州 San Jose の San Jose Convention Center です。
ITRON International Meeting へは、日本からの参加者も歓迎します。ESC に参加を予定されている方は、ITRON International Meeting へもご出席頂け ると幸いです。なお、最終的なプログラムおよび参加申し込み方法については、 ITRONホームページ (英語ページ) を参照下さ い。多数のご参加をいただければ幸いです。
ITRON専門委員会では、11月18日(水)〜20日(金) の 3日間、東京ビッグサ イトにおいて開催予定のマイコンシステム&ツールフェア'98 (MST'98) に出展 し、ITRON仕様に関する広報活動を行います。また、昨年に引き続き、併設の テクニカルセミナーにおいて、ITRON専門委員会企画によるセミナーを開催し ます。
マイコンシステム&ツールフェアは、組み込みシステム技術と開発支援関連 製品を中心とした専門技術展で、(社)日本システムハウス協会 (JASA) の主催 で毎年開催されているものです。ITRON専門委員会の企画によるセミナーは、 展示会初日の11月18日(水) の 13:00〜16:00 に予定されています。セミナー の内容は、「ITRONプロジェクトの最新状況」「μITRON4.0仕様の概要」 「μITRON4.0仕様の新機能とその使い方」の3つのテーマで、それぞれ50分程 度の講演を予定しています。セミナーへの参加料は無料です (資料は有料で販 売)。
なお、セミナーの最終的なプログラムおよび参加申し込み方法については、 MST'98 のホームページを参照いただけると幸いです。ITRONホームページからもリンクをはる予定です。 今回も、多数のご参加をいただけると幸いです。
ITRON専門委員会では、ITRONホームページの URL が長いという指摘と、 JTRON2.0仕様の中で必要という理由から、独自にドメイン名を登録し、ITRON ホームページの URL を変更することとなりました。ITRONホームページの新し い URL は、次の通りです。
http://www.itron.gr.jp/
またこれを機会に、ITRONホームページのミラーサイトを米国に設置し、新 しい URL を使うと米国のミラーサイトにアクセスするよう設定します。従来 の URL を使うと、これまで通り東京大学に設置したミラーサイトにアクセス することになります。
1998年8月1日時点で、ITRON専門委員会が編集し、発行されているITRON関 連の書籍は別表の通りです。ご希望の方は、各発売元にお問い合わせ下さい。
μITRON3.0標準ハンドブック 改訂新版には、μITRON3.0仕様の最新バージョ ン (Ver 3.02.02) が収められています。旧版のμITRON3.0標準ハンドブック (Ver 3.00.00) から Ver 3.02.00 への改訂点は、ITRON標準ガイドブック2 に 掲載されています。Ver 3.02.00 から Ver 3.02.02 へは、構成の変更や説明 の追加だけで、仕様の技術的な内容の変更はありません。
ITRON・μITRON標準ハンドブックは、μITRON Ver 2.0 と ITRON2 の仕様 書を1冊にまとめたものです。発行元で品切れとなったため、 発行元のホームページで公開されています。
ITRON標準ガイドブック2 は、μITRON3.0仕様をメインのターゲットとして 作成されています。ITRON標準ガイドブック'92-'93は、タイトルの期間を過ぎ ていますが、μITRON仕様 Ver 2.0 や ITRON2仕様を使われている場合には、 現在でも有効に活用できます。
書籍名 | 分類 | 価格 | 発行元 | 発行年 | ISBN番号 |
---|---|---|---|---|---|
ITRON・μITRON標準ハンドブック | 和文仕様書 | 発行元品切れ | パーソナルメディア | 1990 | ISBN4-89362-079-7 |
μITRON3.0標準ハンドブック 改訂新版 | 和文仕様書 | 4,000円 | パーソナルメディア | 1997 | ISBN4-89362-154-8 |
ITRON標準ガイドブック'92-'93 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1992 | ISBN4-89362-197-6 |
ITRON標準ガイドブック2 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1994 | ISBN4-89362-133-5 |
ITRON TCP/IP API仕様 (Ver. 1.00.01) | 和文仕様書 | − | トロン協会 | 1998 | − |
JTRON2.0仕様 (Ver. 2.00.00) | 和文仕様書 | − | トロン協会 | 1998 | − |
μITRON Specification Ver 2.01.00.00 | 英文仕様書 | 12,000円 | トロン協会 | 1989 | − |
ITRON2 Specification Ver 2.02.00.10 | 英文仕様書 | 15,000円 | トロン協会 | 1990 | − |
μITRON3.0 Specification Ver 3.02.00 | 英文仕様書 | − | トロン協会 | 1994 | − |
μITRON3.0: An Open and Portable Real-Time Operating System for Embedded Systems | 英文仕様書 | $40.00 | IEEE CS Press | 1997 | ISBN0-8186-7795-3 |
(株)アドバンスド・データ・コントロールズ (株)アプリックス アルシスKKE(株) アンドールシステムサポート(株) (株)エーアイコーポレーション エルグ(株) キャッツ(株) (株)グレープシステム |
(株)ソフィアシステムズ (株)ソフトボート (株)デンソークリエイト 東芝情報システム(株) 日本シグナスソリューションズ パーソナルメディア(株) 横河ディジタルコンピュータ(株) |
ITRON専門委員会では、7月8日(水)〜10日(金) の 3日間、東京ビッグサイ トにおいて開催された組込みシ ステム開発技術展 (ESEC) に出展して、ITRON仕様に関する広報活動を行 いました。ESEC は、組み込みシステムの開発技術に関する展示会と技術セミ ナーで構成され、リードジャパン(株) の主催、(社)トロン協会 の協賛で今年始めて開催されたものです。
また恒例になりました、各出展会社のブースにITRONのロゴと「当社は ITRONプロジェクトをサポートしています」という文言 (今回から文言を「… ITRON仕様OSを…」から「…ITRONプロジェクトを…」に変更しました) の入っ たスタンドを置かせて頂くようお願いし、別表の各社のブースに置かせて頂く ことができました。ご協力頂いた方々に、この場を借りてお礼申し上げま す。
アートシステム(株) (株)アドバンスド・データ・コントロールズ (株)アバールデータ (株)アプリックス (株)アンペール イーエスティー(株) (株)エーアイコーポレーション エルグ(株) ガイオ・テクノロジー(株) ガイオ・テクノロジー(株) 横浜事業所 キャッツ(株) |
(株)グレープシステム (株)ケーアイテクノロジー (株)ソフトボート (株)東陽テクニカ 日本シグナスソリューションズ 日本システムウエア(株) 日本テック(株) パシフィックソフトワークス (有)宮崎システム設計事務所 横河ディジタルコンピュータ(株) 理想計測(株) |
日本経済新聞 6 月27日の朝刊の SATURDAY "X" NIKKEI のページに、「がんばる国産OS」 という見出しで、TRON仕様の OS の現状を紹介する記事が掲載されました。記 事中ではすべて TRON と表記されていますが、内容的には、ITRON仕様OS を中 心として、BTRON仕様OS、CTRON仕様OS についても触れられています。記事は、 TRON仕様の OS が目立たないながら広く使われている現状を紹介するもので、 世界へアピールしていく必要性を指摘しています。
日経エレクトロニクス (日経BP 社刊) 8月10日号のニュースレポートで、μITRON4.0仕様の考え方と概要を紹 介する記事が掲載されました。記事は、ITRONオープンセミナーでの μITRON4.0仕様の概要発表を受けてのもので、弱い標準化からの脱却とソフト ウェアの再利用性に重点を置いたものです。
インタフェース誌 (CQ 出版社刊) 1998年9月号の特集の中で、「組み込みシステム向けの TCP/IP プ ロトコルスタックとは」というタイトルで、ITRON TCP/IP API仕様について紹 介する記事が掲載されました。記事の著者は ITRON専門委員会 幹事/豊橋技 術科学大学の高田広章氏です。記事では、ソケットインタフェースの問題点と ITRON TCP/IP API仕様の設計方針の解説の後、TCP を使う簡単なプログラムを ソケットインタフェースと ITRON TCP/IP API で記述したものの違いが説明さ れています。
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