(社)トロン協会 ITRON専門委員会
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目次 |
ITRON専門委員会では、1998年4月よりμITRON4.0仕様研究会を発足させ、 その下にカーネル仕様WG、デバイスドライバ作成ガイドラインWG、アプリケー ション設計ガイドラインWG の3つのWGを設置してそれぞれの検討を進めていま すが、μITRON4.0リアルタイムカーネル仕様の概要が固まってきたことを受け て、遅れて活動を開始する予定であった 4つめの WG であるデバッギングイン タフェース仕様WG の活動を開始します。
デバッギングインタフェース仕様WG の目的は、μITRON4.0仕様のリアルタ イムカーネルと、デバッグ環境 (デバッガ、ICE、ロジアナなど) と間のイン タフェースの標準化を行うことです。この標準化により、デバッグ環境ベンダ は、それぞれのμITRON仕様カーネルに個別に対応する必要がなくなり、開発 期間の短縮やコストの低減が可能になります。逆にカーネルベンダにとっても、 豊富なデバッグ環境を揃えることが容易になり、ユーザにとっても利益の大き いものです。
具体的には、1998年2月をメドに第1回の WG のミーティングを開く予定で す。その後は、電子メイルと月1回程度のミーティングにより、デバッギング インタフェース仕様標準化の検討を行います。
ITRON専門委員会では、μITRON4.0仕様研究会ならびにその WG の活動に積 極的に貢献してくださる組み込みシステム技術者の参加を歓迎いたします。研 究会への参加費用はかかりませんが、研究会活動へ積極的に貢献してくださる ことが参加の条件となります。研究会への具体的な参加方法については、ITRONホームページを参照ください。
前号を発行して以降 1998年12月1日までに、新規に登録されたITRON仕様準 拠製品は別表の通りです。最新の全登録製品リストは、ここにあります。
仕様 | 製品名 | 対象プロセッサ | 会社名 |
---|---|---|---|
μITRON3.0 | MR79 | 7900シリーズ | 三菱電機セミコンダクタシステム(株) |
書籍名 | 分類 | 価格 | 発行元 | 発行年 | ISBN番号 |
---|---|---|---|---|---|
ITRON・μITRON標準ハンドブック | 和文仕様書 | 発行元品切れ | パーソナルメディア | 1990 | ISBN4-89362-079-7 |
μITRON3.0標準ハンドブック 改訂新版 | 和文仕様書 | 4,000円 | パーソナルメディア | 1997 | ISBN4-89362-154-8 |
ITRON標準ガイドブック'92-'93 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1992 | ISBN4-89362-197-6 |
ITRON標準ガイドブック2 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1994 | ISBN4-89362-133-5 |
ITRON TCP/IP API仕様 (Ver. 1.00.01) | 和文仕様書 | − | トロン協会 | 1998 | − |
JTRON2.0仕様 (Ver. 2.00.00) | 和文仕様書 | − | トロン協会 | 1998 | − |
μITRON Specification Ver 2.01.00.00 | 英文仕様書 | 12,000円 | トロン協会 | 1989 | − |
ITRON2 Specification Ver 2.02.00.10 | 英文仕様書 | 15,000円 | トロン協会 | 1990 | − |
μITRON3.0 Specification Ver 3.02.00 | 英文仕様書 | − | トロン協会 | 1994 | − |
μITRON3.0: An Open and Portable Real-Time Operating System for Embedded Systems | 英文仕様書 | $40.00 | IEEE CS Press | 1997 | ISBN0-8186-7795-3 |
ITRON専門委員会では、11月1日(日)〜5日(木) に米国カリフォルニア州
San Jose の San Jose Convention Center で開催された Embedded Systems Conference
(ESC) においてブースを出展するとともに、その会期中の 11月4日(水)
に、展示会場近くのホテルにおいて ITRON International Meeting '98 を開
催しました。
ITRON International Meeting '98 は、昨年の ITRON Supporters'
Meeting に引続き、米国で開催する ITRON関係の会議としては2回めになるも
ので、米国において ITRON仕様に関わっている方にプロジェクトの最近の活動
状況を紹介するとともに、主に米国において開発されている ITRON仕様やそれ
に関連する製品を紹介することを目的としています。今回の会議は、米国を中
心にオープンな標準化活動を行っている The Open Group との協力で開催し、
JETRO (日本貿易振興会)
からの援助を頂きました。会議の概要は次の通りです。 会議室での昼食の後、トロン協会米国リエゾンオフィスの J. Farrell氏の
挨拶で会議を開始し、ITRON専門委員長/(株)東芝の田丸喜一郎氏による
ITRONプロジェクトの最近の活動を含めた概要紹介、ITRON専門委員会/豊橋技
術科学大学の高田広章氏によるμITRON4.0仕様と ITRON TCP/IP API仕様の概
要紹介と会議を進めました。それに続き、The Open Group の V. Joloboff氏
より、The Open Group における組み込みシステム向け Java 技術への取り組
みについて講演いただきました。また Joloboff氏は、The Open Group は
POSIX仕様のコンフォーマンステストの作成・保守の実績を持っており、
μITRON仕様のコンフォーマンステストにも興味を持っていると述べられまし
た。その後、ITRON専門委員会/(株)アプリックスの八谷祥一氏による
JTRON2.0仕様の概要紹介で前半のセッションを締めくくりました。 休憩後の後半のセッションでは、主に米国において ITRON仕様の製品や
ITRON仕様OS をサポートする製品を開発している企業 7社から、それぞれの製
品の紹介を頂きました。その後いったんミーティングを締めた後、1998年9月
に ITRON仕様に準拠した API を持つオープンソースでロイヤリティフリーの
OS である eCos を発表
した Cygnus Solutions による特別セッションを行いました。特別セッション
では、組み込みシステム業界におけるオープンソースの意義の説明や、eCos
の技術的な内容紹介とデモンストレーションが行われました。 会議には、講演者や ITRON専門委員会、The Open Group の関係者も含めて
約80名の参加があり、米国で主催する2回めの会議としては満足すべき結果で
あったと考えています。ただし、展示会と同じ時間帯に開催しているために多
忙な参加者も多く、会場への出入りが多くありました。また、多忙な参加者を
想定して会議を短くしたために、それぞれの講演が非常に短いものとなってし
まいました。逆に、展示会と同じ時間帯なので参加者を集めやすいという利点
はあります。ITRON専門委員会では、このような反省点を踏まえて、来年度の
ミーティングを企画したいと考えています。 また ITRON専門委員会では、例年通り ESC の展示会に出展し、ITRON仕様
に関する広報を行いました。当初、昨年同様 (社)日本システムハウス協会
(JASA) と共同でブースを出展する予定でしたが、JASA が出展を取り止めたた
め、急拠単独でブースを出展することとなりました。ブースでは、μITRONリ
アルタイムカーネル仕様、ITRON TCP/IP API仕様、JTRON2.0仕様について紹介
するパネルと ITRON仕様製品の一覧を掲載したパネルを掲示し、ITRONホーム
ページを読めるようにしたパソコンを設置しました。また、ITRON のロゴと
"We Support ITRON Project" の文字の入ったスタンドを、別表の 28社のブー
ス (またはコーナー) に置かせて頂きました。 来年の ESC は、9月26日(日)〜30日(木) に、今年と同様 San Jose
Convention Center において開催される予定で、ITRON専門委員会でも継続し
てブースを出展する予定です。ITRON International Meeting '98 開催ならびに ESC出展報告
N. Witchey (US Software Corp)
J. Cheuck (Metrowerks KK.)
D. Fults (Geoworks, Inc.)
D. Winterburn (Insignia Solutions)
G. Malek (Apogee Software, Inc.)
M. Watanabe (CATS CO., LTD.)
S. Akamine (Cygnus Solutions)
ACCESS Co. Ltd. Aplix Corporation CARDtools Systems Cygnus Solutions Densan Systems, Inc. CATS Co. Ltd. Fujitsu Microelectronics, Inc. Gaio Technology Co. Ltd. Geoworks, Inc. Hewlett-Packard Hitachi Semiconductor (America), Inc. Insignia Solutions Mentor Graphics - Microtec Division Metrowerks Corp. |
Microware Systems Corp. MIPS Technologies Mitsubishi Electronics America, Inc. Motorola - Semiconductor Products Sector NEC Electronics Inc. Orion Instruments Panasonic Industrial Company Sanritz Automation Co. Ltd. Sophia Systems and Technology Spyglass, Inc. Sun Microelectronics Toshiba America Electronics Components, Inc. US Software Yokogawa |
(社)トロン協会では、11月18日(水)〜20日(金)の3日間に東京ビッグサイト で開催されたマイコン システム&ツールフェア'98 (MST'98)において、ITRON仕様について紹介 するブースを出展しました。また MST'98 Conference のシンポジウムにおい ては、ITRON専門委員会の企画による、ITRON特別セミナーを開催しました。
マイコンシステム&ツールフェアは、組み込みシステム技術と開発支援関 連製品を中心とした専門技術展で、(社)日本システムハウス協会 (JASA) の主 催で毎年11月に開催されているものです。昨年より会場を東京ビッグサイトに 移しましたが、今年は約120社が出展し、毎年規模を拡大しています。また今 回から、上で紹介した ESC を主催している Miller Freeman 社との提携も始 まりました。
トロン協会のブースでは、例年同様のパネルと資料の展示、資料の配付、 ITRONホームページを読めるパソコンの用意に加えて、10月に開催したITRON仕 様セミナーの予稿集の販売も行いました。また、例年実施している「RTOSの利 用動向に関する調査」のアンケート用紙を配布し、可能な方にはその場で回答 いただきました。これも例年通り、各出展会社のブースにITRONのロゴと「当 社はITRONプロジェクトをサポートしています」という文言の入ったスタンド を置かせていただくようお願いしたところ、41社のブースに置かせて頂くこと ができました (別表参照)。ご協力頂いた方に、この場を借りてお礼申し上げ ます。
昨年初めてITRON専門委員会企画によるシステム特別セミナーを行いました が、今回は、ITRONプロジェクトの最新動向を、現在策定中のμITRON4.0仕様 を中心に紹介するITRON特別セミナーを企画しました。ITRON特別セミナーの概 要は次の通りです。
定員が約300名の広い部屋であったにもかかわらず、いずれの講演も満席で、 さらに立ち見の方が出るほど多数のご出席をいただきました。あらためて、 ITRONプロジェクトに対する関心の高さを実感することになりました。ITRON専 門委員会では、来年以降も同様のセミナーを継続して企画することを検討した いと考えています。
アーム(株) (株)アドバンスドデータコントロールズ (株)アバールデータ (株)アプリックス アンドールシステムサポート(株) イーエスティ(株) (株)インターコム (株)エーアイコーポレーション エスディエス・ジャパン(株) NEC エルグ(株) キャノンソフトウエア(株) 京都マイクロコンピュータ(株) (株)グレープシステム (株)コア コマツ (株)コンピューテックス CQ出版(株) (株)ジール (株)ソフィアシステムズ (株)ソフトボート |
立野電脳(株) (株)電産 東京リースレンタル(株) (株)東芝/東芝情報システム(株) (株)東陽テクニカ 日本シグナスソリューションズ 日本システムウエア(株) 日本テック(株) パシフィックソフトワークスジャパン ビットラン(株) ファームウエアシステム(株) 富士通(株) (株)フジ・データ・システム マイクロテクノロジー(株) 三菱電機(株) 緑屋電気(株) メトロワークス(株) メンター・グラフィックス・ジャパン(株) ユニコムオートメーション(株) 横河ディジタルコンピュータ(株) |
ここでは、ITRON仕様準拠製品登録制度に最近登録された製品について、簡 単な紹介を行います。
MR79は、三菱電機株式会社製16ビットマイクロコンピュータ7900シリーズ に対応したμITRON仕様準拠のリアルタイムOSです。
μITRON仕様 V.3.0に準拠
μITRON仕様 V.3.0に準拠しており、レベルR・レベルSのすべての機能及びレ
ベルEの一部の機能をサポートしています。
コンパクトな OS
OS のライブラリをリンクするだけで使用するシステムコールだけが組み込ま
れ、常に最小サイズのシステムを生成します。OSカーネルのサイズは、最小約
2Kバイト、最大約11Kバイトです。
簡単な割り込みハンドラの記述
割り込みハンドラは、通常の関数として、記述するだけです。OSへの登録も割
り込み要因の数・割り込みハンドラのエントリーポイントを指定するだけで初
期設定ツール cfg79 が必要なファイルを自動的に生成します。
C言語による開発をサポート
弊社製 7900シリーズ用クロスツールキット NC79 に対応した、C言語用インタ
フェースライブラリを装備していますので、C言語によるアプリケーションの
開発が可能です。
初期設定ツール cfg79 を装備
タスク・イベントフラグなどの OS の資源の初期設定を C言語ライクに記述し
たファイルから、OSへの登録に必要な各種初期設定ファイルを自動的に生成す
るツール cfg79 を装備しました。
三菱電機セミコンダクタシステム株式会社
マイコンソフトツール部 ツール第一課
〒564 大阪府吹田市豊津町1-18 エクラート江坂ビル
TEL: 06-338-5572
FAX: 06-338-4471
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