(社)トロン協会 ITRON部会
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ITRON部会では、μITRON4.0仕様研究会 デバッギングインタフェース仕様WG において ITRONデバッギングインタフェース仕様の検討を行ってきましたが、こ の度その検討作業を完了し、ITRONデバッギングインタフェース仕様 (Ver. 1.00.00) として公開することになりました。
ITRONデバッギングインタフェース仕様は、デバッグツール (デバッガやICEなど) がμITRON4.0仕様に準拠したリアルタイムカーネルをサポートするための標準的なインタフェースを規定するものです。標準化のアプローチとして、リアルタイムカーネル側にデバッグ支援のための機能を追加するのではなく、RTOSインタフェースモジュール (RMI) と呼ばれるリアルタイムOS上のソフトウェアのデバッグ支援機能を実現するモジュールを、デバッグツール側に埋め込むというアプローチを採っています。ITRONデバッギングインタフェース仕様では、デバッグツールと RIM との間のインタフェースを定めています。
ITRONデバッギングインタフェース仕様は、1999年始めよりデバッギングインタフェース仕様WGにおいて検討してきました。昨年の7月に暫定仕様書を公開し、一般からのコメントを求めるとともに、仕様を評価するための実装などを通じて仕様をリファインした結果、実用化できるレベルに達したと判断し、正式版として公開することになりました。
すでに、この仕様に準拠した製品の開発を進めているメーカが複数あり、今後、仕様に準拠したμITRON仕様カーネルやデバッグツールが提供されることが期待されます。またITRON部会では、この仕様書の英語化を行う予定です。
2001年1月からITRON部会のオブザーバメンバに加わった (株)リコー、(株)半導体エネルギー研究所、キャッツ(株) の3社の紹介を掲載します。
(株)リコーは、"イメージコミュニケーション" をコーポレートスローガンに新たな事業のダイナミックな展開を目指して企業活動を行っています。基盤商品はOA情報関連機器で、オフィスと深く関わる企業活動を行っています。
リコーでは、従来からITRON準拠の組込み商品を多数開発しており、新製品のファクシミリRIFAX CLシリーズも、ITRON2.0準拠のRTOSをベースに設計しています。組込み分野でも情報家電に見られるように、より開発し易く、柔軟に拡張ができ、オープン性が求められています。前述の "イメージコミュニケーション" は5つのコンセプトで構成されていますが、そのひとつである "柔軟に拡張できるオープンな製品開発" がこの方向性と一致しています。
当社は、ソフトウエア・プラットフォームとしてITRONに大いに期待を寄しており、今後もオブザーバの立場で標準化、オープン化に協力していきたいと考えています。
当社は「ものまねの多い日本より創造的な研究と成果を出すべきである」という加藤与五郎先生の指導を実践するために1980年に設立され、研究開発のみを行い、製造を行わない非常にユニークな会社です。
今、エレクトロニクス業界で最も注目されている分野にフラットパネルディスプレイが挙げられます。21世紀の初頭にはマルチメディアに対応する高性能なディスプレイが職場あるいは家庭に普及すると考えられています。これらの製品に使用されるアクティブ型液晶ディスプレイは日本発の数十年に一度の大型商品です。液晶またはEL (エレクトロルミネッセンス) を用いたディスプレイでは、低温結晶系薄膜トランジスタを使ったディスプレイが周辺回路まで一体化した次世代のディスプレイとして主流になるでしょう。
私どもは、太陽電池の研究で培った技術を応用して研究の幅を広げてきましたが、そのひとつが低温結晶系薄膜トランジスタとその応用研究です。私どもはこの低温結晶系薄膜トランジスタでは世界のトップクラスの技術開発を日夜行っており、これらの基本特許を多数取得しています。現在、このディスプレイのさらなる発展をめざし、会社を挙げて研究開発に取り組んでおります。また、新プロセスの実現の為、その基礎的実験設備から固有量産設備開発まで行い、他社に真似できないノウハウも日々蓄積中です。
人生に一度あるかないかの、この大きな研究のチャンスにたずさわることが出来るのは研究者冥利に尽きると言えるでしょう。私ども社員の熱いエネルギーの生み出すものが少しでも社会に貢献できれば幸いです。
代表取締役社長 工学博士 山崎舜平
キャッツ株式会社は1989年設立以来、組込み向け制御系CASEツールZIPCを主力製品として開発・販売・受託業務・コンサルティング業務を行っております。組込み開発ではリアルタイムOSを搭載しているシステムが多く、その中でもITRONが一番多いことから、いち早くITRONに対応してきました。現在では7種類のITRONに対応しています。おかげさまでZIPCは12年もの長い間、多くのお客様に支持され続けていますが、これからも組込み開発を支援するCASEツールとして更なる進化を続けていきます。その1つとしてITRON開発環境としての充実に重点をおいています。
2001年4月1日時点で、ITRON部会が編集し、発行されているITRON関連の書籍は別表の通りです。ご希望の方は、各発売元にお問い合わせください。
μITRON3.0標準ハンドブック 改訂新版には、μITRON3.0仕様の最新バージョン (Ver 3.02.02) が収められています。旧版のμITRON3.0標準ハンドブック (Ver 3.00.00) から Ver 3.02.00 への改訂点は、ITRON標準ガイドブック2 に掲載されています。Ver 3.02.00 から Ver 3.02.02 へは、構成の変更や説明の追加だけで、仕様の技術的な内容の変更はありません。
ITRON・μITRON標準ハンドブックは、μITRON Ver 2.0 と ITRON2 の仕様書を1冊にまとめたものです。発行元で品切れとなったため、発行元のホームページで公開されています。
ITRON標準ガイドブック'92-'93はμITRON仕様 Ver 2.0 と ITRON2仕様を、ITRON標準ガイドブック2 はμITRON3.0仕様をメインのターゲットとして作成されています。前者はタイトルに過去の年号が含まれていますが、μITRON仕様 Ver 2.0 や ITRON2仕様を使われている場合には、現在でも有効に活用できます。
書籍名 | 分類 | 価格 | 発行元 | 発行年 | ISBN番号 |
---|---|---|---|---|---|
ITRON・µITRON標準ハンドブック | 和文仕様書 | 発行元品切れ | パーソナルメディア | 1990 | ISBN4-89362-079-7 |
µITRON3.0標準ハンドブック 改訂新版 | 和文仕様書 | 4,000円 | パーソナルメディア | 1997 | ISBN4-89362-154-8 |
µITRON4.0仕様 (Ver. 4.00.00) | 和文仕様書 | 5,000円 (税込み) | トロン協会 | 1999 | − |
μITRON4.0検定仕様書(案) | 和文仕様書 | − | トロン協会 | 2001 | − |
ITRON標準ガイドブック'92-'93 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1992 | ISBN4-89362-197-6 |
ITRON標準ガイドブック2 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1994 | ISBN4-89362-133-5 |
ITRON TCP/IP API仕様 (Ver. 1.00.01) | 和文仕様書 | − | トロン協会 | 1998 | − |
ITRONデバッギングインタフェース仕様(Ver. 1.A0.00 暫定仕様書) | 和文仕様書 | − | トロン協会 | 2000 | − |
JTRON2.1仕様 (Ver. 2.01.00) | 和文仕様書 | − | トロン協会 | 1998 | − |
µITRON Specification Ver 2.01.00.00 | 英文仕様書 | 12,000円 | トロン協会 | 1989 | − |
ITRON2 Specification Ver 2.02.00.10 | 英文仕様書 | 15,000円 | トロン協会 | 1990 | − |
µITRON3.0 Specification Ver 3.02.00 | 英文仕様書 | − | トロン協会 | 1994 | − |
µITRON3.0: An Open and Portable Real-Time Operating System for Embedded Systems | 英文仕様書 | $40.00 | IEEE CS Press | 1997 | ISBN0-8186-7795-3 |
JTRON2.0 Specification (Ver. 2.00.00) | 英文仕様書 | − | トロン協会 | 1999 | − |
ITRON部会では、4月9日(月)〜13日(金) に米国カリフォルニア州サンフランシスコの Moscone Convention Center で開催された Embedded Systems Conference (ESC) に出展し、ITRON仕様に関する広報活動を行いました。
今回は、Accelerated Technology 社のブースの一角をお借りする形で出展するとともに、Accelerated Technology と US Software の両社のブース内に設けられたプレゼンテーションスペースで、それぞれ1日1回ずつ、1回20分程度でITRON仕様を紹介するプレゼンテーションを行いました。
また、会期中の 4月11日(水)には、会場近くのホテルにおいて、トロン協会北米支部準備委員会のミーティングを開催しました。議論の結果、今後1年間で法的・技術的な問題を検討し、来年度に北米支部を正式に設立することが確認されました。また、US Software 社に北米連絡事務所を置くことになり、トロン協会と US Software 社との間で基本契約を締結しました。
4月18日(水)〜20日(金)に、東京ビッグサイトにおいて開催された ESS2001システムLSIソリューションフェア (主催: (社)電子情報技術産業協会) のConference のテクニカルセッションにおいて、ITRON部会 主査/富士通デバイス(株) の工藤健治氏による「ITRON仕様の最新の状況」というタイトルの講演が行われました。講演は、ITRONプロジェクトの概要から、μITRON仕様へのメモリ保護機能の導入に関する検討など、最近の動きまでを紹介するもので、 4月19日(木) の14時40分〜15時40分に行われました。
また、この Conference の特別セッションにおいては、トロンプロジェクト リーダ/東京大学の坂村健氏による「トロンプロジェクト最近の動向」というタイトルの講演も行われました。またトロン協会では、ESS2001の展示会にブースを出展し、主にITRON仕様について紹介する展示を行いました。
2001年実時間処理に関するワークショップ (RTP2001) が、3月5日と6日の両 日に奈良先端大学院大学において開催されました。ITRONに関連する発表としては、豊橋技術科学大学の村中健二氏らデバイスドライバ設計ガイドラインWGメンバの共著による「ITRONデバイスドライバ設計ガイドラインにおけるデバイスドライバの移植性とその評価」、FJB Webテクノロジーの山本厳淳らによる「Real-Time Linuxを利用したμITRONシミュレータの開発」、武蔵工業大学の辰巳将司氏らによる「ITRON仕様OSのマルチプロセッサ拡張におけるデッドロック回避の手法」がありました。実時間処理に関するワークショップ (RTP) は、電子情報通信学会のコンピュータシステム研究会の形で毎年開催されており、予稿集は研究会報告の形で出版されています。また今回は、情報処理学会のシステムソフトウェア研究会との共催で開催されたため、予稿集は情報処理学会からも出版されています。
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