ITRON Newsletter No.23 (HTML Edition)
(社)トロン協会 ITRON専門委員会
〒108 東京都港区三田1丁目3番39号 勝田ビル5階
TEL: (03) 3454-3191 FAX: (03) 3454-3224
ITRON の利用動向に関するアンケート調査について
トロン協会では例年、トロンの技術動向・利用動向に関するアンケート調査を
実施してきましたが、今年度はテーマを ITRON に絞り、組み込みシステムの
開発技術者を主な調査対象としてアンケート調査を行うことになりました。ア
ンケート調査票は、11月から12月にかけて郵送などの方法で配付する予定です。
調査の結果は、ITRON 仕様に関する広報や、プロジェクトの今後の方針決定に
役立てたいと考えています。調査票がお手元に届きました際には、何卒ご協力
いただけるようお願い申し上げます。
また今年度は、アンケート調査にインターネットを使うことも計画しています。
アンケート調査票は、ITRONホームページから
アクセスできるようにする予定ですので、調査票がお手元に届かなかった場合
には、インターネット経由での調査にご協力いただけると幸いです。調査結果
につきましても、ITRONホームページからアクセスできる形で公開する予定で
す。
ITRONハードリアルタイムサポート研究会の発足について
ITRONニュースレター No.22 で、ITRON専門
委員会のミドルウェア標準化へ向けての取り組みについて紹介しましたが、そ
の中で検討テーマの 1つに挙げたミドルウェアの提供に適したカーネル機能、
特にハードリアルタイム性を持ったミドルウェアをサポートするカーネル機能
について検討するために、ITRONハードリアルタイムサポート研究会 (略称:
HRT研究会) の活動を、1996年10月より開始しました。
研究会では、まずは 1996年度下半期をメドに、ハードリアルタイムシステム
に関する理論のサーベイを行うとともに、ハードリアルタイムサポートに対す
る要求の洗い出しと整理を行います。研究会への参加を希望される方は、
ITRON専門委員会までご連絡ください。研究会の活動成果については、ITRONオー
プンセミナーなどの場で紹介していきたいと考えております。
ITRON関連製品登録制度への登録状況
前号を発行して以降 1996年10月1日までに、新規に登録されたITRON仕様関連
製品は別表の通りです。全登録製品リストは、こ
こにあります。
ITRON仕様関連製品制度 新規登録製品一覧
(1996年4月1日〜1996年10月1日)
仕様 |
製品名 |
対象プロセッサ |
会社名 |
μITRON2.0 |
RX78K/IV |
78K/IVシリーズ |
日本電気(株) |
ITRON関連書籍の一覧
1996年10月1日時点で、ITRON専門委員会が編集し、発行されているITRON関連
の書籍は別表の通りです。ITRON・μITRON標準ハンドブックは、μITRON (Ver
2.0) と ITRON2 の仕様書を1冊にまとめたものです。ご希望の方は、各発売元
にお問い合わせ下さい。
μITRON3.0仕様の最新バージョンは、Ver 3.02.00 です。μITRON3.0標準ハン
ドブック (Ver 3.00.00) からの改訂点は、ITRONニュースレター No.5 および No.11、
または ITRON標準ガイドブック2 に掲載されています。
ITRON標準ガイドブック2 は、μITRON3.0仕様をメインのターゲットとして作
成されています。ITRON標準ガイドブック'92-'93 は、タイトルの 1992〜93年
という期間を過ぎていますが、μITRON仕様(Ver 2.0) や ITRON2仕様を使われ
ている場合には、現在でも有効に活用できます。
ITRON関連書籍一覧
書籍名 |
分類 |
価格 |
発売元 |
発行年 |
ISBN番号 |
ITRON・μITRON標準ハンドブック |
和文仕様書 |
4,800円 |
パーソナルメディア |
1990 |
ISBN4-89362-079-7 |
μITRON3.0標準ハンドブック |
和文仕様書 |
4,000円 |
パーソナルメディア |
1993 |
ISBN4-89362-106-8 |
ITRON/FILE標準ハンドブック |
和文仕様書 |
3,000円 |
パーソナルメディア |
1992 |
ISBN4-89362-092-4 |
ITRON標準ガイドブック'92-'93 |
和文参考書 |
3,500円 |
パーソナルメディア |
1992 |
ISBN4-89362-197-6 |
ITRON標準ガイドブック2 |
和文参考書 |
3,500円 |
パーソナルメディア |
1994 |
ISBN4-89362-133-5 |
μITRON Specification Ver 2.01.00.00 |
英文仕様書 |
12,000円 |
トロン協会 |
1989 |
− |
ITRON2 Specification Ver 2.02.00.10 |
英文仕様書 |
15,000円 |
トロン協会 |
1990 |
− |
μITRON3.0 Specification Ver 3.02.00 |
英文仕様書 |
− |
トロン協会 |
1994 |
− |
※ 価格には消費税を含みません。
※ トロン協会会員に対しては、会員価格が設定されています。
※ 英文仕様書は、ここから取得できます。
Embedded Systems Conference 報告
ITRONニュースレター No.21 でお知らせし
ました通り、トロン協会 ITRON専門委員会では、今年の 9月16日(月)〜19日
(木) に米国カリフォルニア州 San Jose の San Jose Convention Center で
開催された Embedded Systems
Conference West においてブースを出展し、ITRON仕様に関する広報を行
いました。また、有料のセミナーコースの中で東京大学の高田広章氏が、
"Realization Techniques of Compact and Low-Overhead Real-Time Kernels
for Single-Chip MCUs" というタイトルで、ワンチップマイコンのためのリア
ルタイムカーネルの実現技術に関するレクチャを行いました。レクチャの中で、
μITRON仕様に関する紹介も行いました。当初フリーテクニカルセッションの
中で予定していたμITRON仕様に関するプレゼンテーションについては、今回
はフリーテクニカルセッション自身が設けられなかったために、とりやめとな
りました。
展示会場のトロン協会のブースでは、ITRON仕様について紹介するパネルと
ITRON仕様OS の一覧を掲載したパネルを使い、仕様書を始めとする各種の資料
の展示を行いました。また、μITRON3.0 の英文仕様書を HTML (WWW のページ
を記述するための言語) に直したものを、ITRONホームページや ITRONニュー
スレターなどとともに、ブースに設置したパソコンを使って読めるようにしま
した。また、昨年同様、ITRON のロゴと "We Support ITRON Specification"
の文字の入ったスタンド (20cm×20cm 程度の大きさの自立式のパネル) を、
ITRON をサポートする合計15社のブースに置かせていただき、ITRON仕様の知
名度アップに役立てました。
来年の Embedded Systems Conference West は、9月29日(月)〜10月3日(金)に、
今年と同様 San Jose Convention Center に於いて開催される予定で、ITRON
専門委員会でもブースの出展を予定しています。また例年4月には、Embedded
Systems Conference East が米国東海岸において開催されます。
なお、この件に関する詳細は、TRON PROJECT JOURNAL No.46 に高田広章氏に
よる報告記事が掲載される予定ですので、そちらも参照くださると幸いです。
新製品紹介
ここでは、ITRON関連製品登録制度に新規に登録された製品について、簡単な
紹介をします。
●製品概要
RX78K/IVは、NEC製16ビット・シングルチップ・マイコン78K/IVシリーズ用の
リアルタイムOSであり、μITRON Ver.2.01仕様に準拠しています。
●特徴
RX78K/IVは以下のような特徴を持っています。
- 78K/IVアーキテクチャを活用し、高速な処理となっています。
- RX78K/IVのニュークリアスは、ライブラリ形式で提供しており、システム
生成時に必要な機能だけをリンクすることによりコンパクトなモジュールにな
ります。ニュークリアス・サイズは最小約1Kバイト最大約7Kバイトです。
- リアルタイムOSのネックであるRAM消費を最小限にしています。
- C言語インタフェース・ライブラリを提供していますので、C言語にてアプ
リケーションを作成することができます。
- コンフィギュレーション情報を生成するツールを提供しています。
- タスク・ディバッガが添付されていますので、ディバグ時の作業効率が良
くなります。
●機能
RX78K/IVは以下のような機能を持っています。
- タスク管理機能
リアルタイムOSの管理単位であるタスクの実行を管理します。タスクの状態に
は、RUN状態、READY状態、WAIT状態、DORMANT状態の4状態をサポートしていま
す。またタスク優先度は14レベルあり、ユーザ・システムに応じて優先度数を
変更することができます。
- 同期・通信管理機能
1ビット・イベントフラグ、セマフォ、メイルボックスを管理します。
- メモリ管理機能
固定サイズのメモリ・ブロックを動的に管理します。
- 割り込み管理機能
割り込みハンドラから駆動するタスクを管理します。
- 時間管理機能
周期ハンドラなどの時間を管理します。
文献紹介
情報処理学会の学会誌である情報処理の 1996年9月号に、沖電気工業の河井淳
氏と西山由高氏による「組み込みシステム用ソフトウェア開発環境」という解
説が掲載されています。この解説では、組み込み用RISCプロセッサや組み込み
用ソフトウェア開発環境の動向について紹介されています。組み込み用リアル
タイムOS の節では、ITRON仕様についても紹介されています。
VLSI Report ((株)プレスジャーナル調査部発行) の 1996年9月号に、「リア
ルタイムOS と関連ツール群」というタイトルの記事で、リアルタイムOS とそ
れに関連する開発環境の動向が紹介されています。その中で、ITRON の現状に
関しても、ページを割いて解説されています。
※ このニュースレターは、TRONWARE vol.42 および TRON PROJECT
JOURNAL No.46 に掲載されたものを、WWW で公開するために再編集したもので
す。
Back to the list of ITRON Newsletter
(Japanese Version)
Back to ITRON Home Page (in Japanese)