昨年のセミナーでは、参加申込者が会場の定員を超え、定員に達した後にお申 し込み頂いた方に対しては、残念ながら参加をお断りしました。今回は、昨年 よりも広い会場で開催してすべての希望者に参加頂けるように配慮するととも に、内容的にもより有益なセミナーとなるよう企画しました。
なお、最終的なプログラムおよび 参加申し込み方法については、ITRONホームペー ジを参照するか、(社)トロン協会 ITRONオープンセミナー担当 (TEL: (03) 3454-3191, FAX: (03) 3454-3224) までお問い合わせ下さい。今回も多 数のご参加をお待ちしています。
トロン協会では例年、トロンの技術動向・利用動向に関するアンケート調査を 実施してきましたが、今年度はテーマを ITRON に絞り、組み込みシステムの 開発技術者を主な調査対象としてアンケート調査を行いました。 ITRONニュー スレター No.23 でもご協力をお願いしまし たが、アンケート調査票を郵送や展示会で配付したのに加えて、インターネッ トを利用しての調査も行いました。その結果、組み込み機器の設計・開発技術 者を中心に、国内で 287名の方からの回答を頂くことができました。調査にご 協力頂きました皆様に、この場をお借りしてお礼申し上げます。
アンケート回答者には、最近開発した最大3つの組み込み機器について、アプ リケーション分野や使用OS などを回答して頂きましたが、その結果、OS を用 いていない組み込み機器が約29%、ITRON仕様OS を用いている機器が約26% (内、 市販の ITRON仕様OS が約16%、自社用の ITRON仕様OS が約10%)、自社用の独 自仕様OS を用いている機器が約21%、ITRON仕様以外の市販OS を利用している 機器が約25% という結果になりました。昨年までのアンケートと設問を変更し たために、昨年の結果と比較することはできませんが、ITRON仕様OS が広く使 われている現状を確認することができました。
その他、組み込みシステム用リアルタイムOS の問題点や、ITRON仕様OS の利 点・欠点、ITRON に関連する活動の周知度や今後の活動に対する意見など、 ITRON 仕様に関する広報や、プロジェクトの今後の方針決定に有益な結果を得 ることができました。調査結果の詳細 については、ITRONホームページを参照下 されば幸いです。
まず、昨年11月に開始した ITRONハードリアルタ イムサポート研究会は、今年度も引き続き活動を続けます。活動形態をワー キンググループ主体に改め、年内をメドに研究会の成果のとりまとめを行う予 定です。
次に、ITRONニュースレター上でも何度かお知らせしました通り、ITRON専門委 員会では昨年来、組み込みシステムのためのソフトウェア部品インタフェース の標準化を重要な課題と考えて検討しています。その中で標準化ニーズの高い 分野として、TCP/IPプロトコル処理パッケージがあります。現在、TCP/IP の API (アプリケーションプログラムインタフェース) としては、ソケットイン タフェースが広く使われていますが、小規模な組み込みシステム用にはオーバ ヘッドが大きく適当でないという指摘がなされています。このような背景から、 ITRON専門委員会で、ITRON仕様OS 上での利用するための TCP/IP API の標準 化を行う活動を呼びかけた結果、Embedded TCP/IP 技術委員会が発足すること になりました。
また、応用分野をカーエレクトロニクスに絞って、μITRON仕様OS の応用技術 の調査・研究ならびに標準化活動を行う活動として、ITRON自動車応用技術委 員会(仮称)の発足を呼びかけることになりました。6月をメドに、活動を開始 する予定で準備作業を進めています。これに関連して、今年度、トロン協会 調査研究委員会では、リアルタイムOS の自動車・交通システムへの応用に関 する調査研究活動を行うことになっています。この活動の中では、自動車・交 通システム分野におけるリアルタイムOS の利用状況、技術動向や国際的な標 準化動向について調査を行い、標準化に対する要求を整理する予定です。
以上の他にも、μITRON仕様カーネルの C++言語バインディングの標準化や、 デバッガインタフェースの標準化などが必要性の高い活動テーマとして候補に 挙がっており、活動プランがまとまり次第、標準化活動を開始したいと考えて います。
ITRON専門委員会では、プロジェクトの次の展開へ向けて、多くの活動を進め て、実績を上げていきたいと考えています。これらの活動に興味をお持ちの方 は、ITRON専門委員会までお問い合わせ下されば幸いです。
仕様 | 製品名 | 対象プロセッサ | 会社名 |
---|---|---|---|
μITRON2.0 | NORTi/SH | SH-1, SH-2 | (有)宮崎システム設計事務所 |
NORTi/H85 | H8/500 | (有)宮崎システム設計事務所 | |
NORTi/68K | 68000, 68010, CPU32 | (有)宮崎システム設計事務所 |
μITRON3.0仕様の最新バージョンは、Ver 3.02.00 です。μITRON3.0標準ハン ドブック (Ver 3.00.00) からの改訂点は、ITRONニュースレター No.5 および No.11、 または ITRON標準ガイドブック2 に掲載されています。
ITRON標準ガイドブック2 は、μITRON3.0仕様をメインのターゲットとして作 成されています。ITRON標準ガイドブック'92-'93 は、タイトルの 1992〜93年 という期間を過ぎていますが、μITRON仕様(Ver 2.0) や ITRON2仕様を使われ ている場合には、現在でも有効に活用できます。
書籍名 | 分類 | 価格 | 発売元 | 発行年 | ISBN番号 |
---|---|---|---|---|---|
ITRON・μITRON標準ハンドブック | 和文仕様書 | 4,800円 | パーソナルメディア | 1990 | ISBN4-89362-079-7 |
μITRON3.0標準ハンドブック | 和文仕様書 | 4,000円 | パーソナルメディア | 1993 | ISBN4-89362-106-8 |
ITRON/FILE標準ハンドブック | 和文仕様書 | 3,000円 | パーソナルメディア | 1992 | ISBN4-89362-092-4 |
ITRON標準ガイドブック'92-'93 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1992 | ISBN4-89362-197-6 |
ITRON標準ガイドブック2 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1994 | ISBN4-89362-133-5 |
μITRON Specification Ver 2.01.00.00 | 英文仕様書 | 12,000円 | トロン協会 | 1989 | − |
ITRON2 Specification Ver 2.02.00.10 | 英文仕様書 | 15,000円 | トロン協会 | 1990 | − |
μITRON3.0 Specification Ver 3.02.00 | 英文仕様書 | − | トロン協会 | 1994 | − |
CPUコードが未割当の CPU用に ITRON仕様OS を開発された場合で、CPUコード が必要となる場合には、ITRON専門委員会までご相談下さい。
B'01100101 (H'65) インテル Pentium B'01100110 (H'66) インテル Pentium Pro B'10000000 (H'80) IBM PowerPC601 B'10000001 (H'81) IBM PowerPC602 B'10000010 (H'82) IBM PowerPC603 B'10000011 (H'83) IBM PowerPC604 B'10000110 (H'86) IBM PowerPC401 B'10000111 (H'87) IBM PowerPC403
対応MPU | 68000, 68020, CPU32 |
付属ドライバ | TMP68301, MC68032, MC68340,
MC68334 のタイマ/シリアル |
コンパイラ | Diab Data D-CC/68K
Microtec Research MCC68K |
対応MPU | H8/500 |
付属ドライバ | H8/532, H8/534 のタイマ/シリアル |
コンパイラ | IAR ICC H8/500
日立 H8/500シリーズCコンパイラ |
対応MPU | SH-1, SH-2, (SH-3 予定) |
付属ドライバ | SH7032, SH7604 のタイマ/シリアル |
コンパイラ | 京都マイクロコンピュータ exeGCC
日立 SHシリーズCコンパイラ Green Hills CクロスSHコンパイラ |
NORTi もレベル割り込み (割り込みハンドラのネスト) をサポートし、さらに カーネル処理時間や割り込みマスク時間を短縮するなど、リアルタイム用途に 最適なOS に仕上がっています。NORTi の場合、カーネルが最優先ではありま せんから、カーネルより上位レベルの OS機能を使わない割り込みルーチンは、 即座に応答するすることができます。
特に、68000 上位互換である CPU32 コアのプロセッサはコストパフォーマン スに優れ、弊社でも積極的なサポートを行って行く予定です。
現在はミニマムモデルまでの対応となっています。
NORTi/SH から、インサーキットエミュレータでの対応が始まりました。現在 は、コンピューテックス ROM ICE 64 とソフィアシステムズ MultiSTAC のリ アルタイムOS デバッグ機能が NORTi をサポートしています。
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