ITRON専門委員会では、9月29日(月)〜10月2日(木) にカリフォルニア州 San Jose で開催予定の Embedded Systems Conference (ESC) における普及・ 広報活動の一環として、10月1日(水) に ESC会場近くのホテルにおいて ITRON Supporters Meeting を開催します。ITRON Supporters Meeting では、主に米 国において ITRON に興味を持つ方を対象として、ITRON に関連する最近の開 発・利用状況ならびに標準化活動について紹介するとともに、米国において ITRON仕様の製品ないしは ITRON に関連する製品を開発している企業の方から プレゼンテーションをいただく予定です。米国においてこのような会議を開催 するのは今回が初めてで、今後の普及・広報活動のきっかけにしていきたいと 考えています。ITRON Supporters Meeting に関する最新の情報については、 こちらを参照下さい。
また、ESC に関連して、9月29日(月) には、(社)日本システムハウス協会 (JASA) からのプレゼンテーションとして、田丸喜一郎氏 (JASA技術顧 問/ITRON専門委員長/(株)東芝) による、日本における組み込みマーケットの 現状についての講演が予定されています。その中に、ITRON仕様OS の開発・利 用状況の紹介も盛り込まれる予定です。
ITRON専門委員会では、11月12日(水)〜14日(金) の 3日間、東京ビッグサ イトにおいて開催予定のマイ コンシステム&ツールフェア'97 (MST'97) において、ITRON仕様関連の展 示を行う予定です。また、併設のテクニカルセミナーにおいて、ITRON専門委 員会企画によるセミナーの開催を予定しています。マイコンシステム&ツール フェアは、組み込みシステム技術と開発支援関連製品を中心とした専門技術展 で、(社)日本システムハウス協会 (JASA) の主催で毎年開催されているもので す。
MST'97 併設のテクニカルセミナーは、製品紹介からは離れた技術セミナー として今年初めて開かれるもので、ITRON専門委員会企画によるリアルタイム システム特別セミナーは、11月14日(金) の 10:30〜15:45 に予定されていま す。セミナーの内容は、「リアルタイムシステムの開発手法」「RTOS を使っ たシステムのデバッグ手法」「ハードリアルタイムスケジューリング理論入門」 の3つのテーマについて、それぞれ 1時間15分程度の講演を予定しています。 セミナーへの参加料は無料です (資料は有料で販売)。多数ご参加いただける と幸いです。
MST'97 で予定されているその他の ITRON に関連するイベントとして、 Embedded TCP/IP 技術委員会の活動内容の紹介が、11月13日(木) にテクニカ ルセミナーの 1つに予定されています。その中で、現在検討中の組み込みシス テム向けの TCP/IP API仕様の概要を紹介する予定です。また、恒例の RTOSパ ネルディスカッションが、11月12日(水) に予定されています。
前号を発行して以降 1997年8月1日までに、新規に登録されたITRON仕様準 拠製品は別表の通りです。これらの内、μITRON3.0仕様の製品については、製 品の仕様をμITRON3.0互換性チェックシートに記入したものを、ITRONホームページで公開しています。またこの 間に、MR3210, MR3200F の 2つの製品が登録抹消されました。最新の全登録製 品リストは、ここにあります。
仕様 | 製品名 | 対象プロセッサ | 会社名 |
---|---|---|---|
μITRON3.0 | MR32R | M32R/D | 三菱セミコンダクタソフトウェア(株) |
1997年8月1日時点で、ITRON専門委員会が編集し、発行されているITRON関 連の書籍は別表の通りです。ご希望の方は、各発売元にお問い合わせ下さい。
μITRON3.0標準ハンドブック 改訂新版には、μITRON3.0仕様の最新バージョ ン (Ver 3.02.02) が収められています。旧版のμITRON3.0標準ハンドブック (Ver 3.00.00) から Ver 3.02.00 への改訂点は、ITRON標準ガイドブック2 に 掲載されています。Ver 3.02.00 から Ver 3.02.02 へは、構成の変更や説明 の追加だけで、仕様の技術的な内容の変更はありません。
ITRON・μITRON標準ハンドブックは、μITRON Ver 2.0 と ITRON2 の仕様 書を1冊にまとめたものです。ITRON標準ガイドブック2 は、μITRON3.0仕様を メインのターゲットとして作成されています。ITRON標準ガイドブック'92-'93 は、タイトルの期間を過ぎていますが、μITRON仕様 Ver 2.0 や ITRON2仕様 を使われている場合には、現在でも有効に活用できます。
書籍名 | 分類 | 価格 | 発売元 | 発行年 | ISBN番号 |
---|---|---|---|---|---|
ITRON・μITRON標準ハンドブック | 和文仕様書 | 4,800円 | パーソナルメディア | 1990 | ISBN4-89362-079-7 |
μITRON3.0標準ハンドブック 改訂新版 | 和文仕様書 | 4,000円 | パーソナルメディア | 1997 | ISBN4-89362-154-8 |
ITRON/FILE標準ハンドブック | 和文仕様書 | 3,000円 | パーソナルメディア | 1992 | ISBN4-89362-092-4 |
ITRON標準ガイドブック'92-'93 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1992 | ISBN4-89362-197-6 |
ITRON標準ガイドブック2 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1994 | ISBN4-89362-133-5 |
μITRON Specification Ver 2.01.00.00 | 英文仕様書 | 12,000円 | トロン協会 | 1989 | − |
ITRON2 Specification Ver 2.02.00.10 | 英文仕様書 | 15,000円 | トロン協会 | 1990 | − |
μITRON3.0 Specification Ver 3.02.00 | 英文仕様書 | − | トロン協会 | 1994 | − |
さる 7月16日(水) に、アルカディア市ヶ谷 (東京都千代田区) において、 ITRONオープンセミナーを開催しました。このセミナーは、ITRON仕様に関する 最新の成果や、ITRON仕様OS の実装状況・応用状況、開発環境の状況などを紹 介するために毎年1回開催しているもので、今回で 7回目の開催になります。 今回のセミナーは、「広がる応用と新たな標準化へのチャレンジ」というタイ トルで、μITRON仕様OS の応用分野の広がりと、それに対応するための新たな 標準化課題への取り組みを中心に紹介しました。
午前のセッションでは、ITRON仕様OSの利用動向に関するアンケート調査の 結果を中心とした ITRON の最新動向の紹介と、「ITRON のハードリアルタイ ムサポートへ向けて」と題して ITRONハードリアルタイムサポート研究会の活 動の中間報告をおこないました。午後のセッションでは最近 ITRON の活動の 中で重点をおいて取り組んでいるカーエレクトロニクスへの応用に焦点をあて、 ヨーロッパにおいて自動車制御用のリアルタイムOS の標準化をおこなってい る OSEK/VDX プロジェクトの chairman である Karlsruhe 大学の Uwe Kiencke 教授を招待し OSEK/VDX プロジェクトについて紹介いただくとともに、 Kiencke 教授にも参加いただいてカーエレクトロニクスへの応用と標準化に関 するパネルセッションをおこないました。また例年通り、μITRON仕様OS の開 発事例・応用事例の紹介と、坂村健氏による特別講演もおこないました。
セミナー当日は会場の定員を超える約160名の参加をいただき、好評の内に セミナーを終えることができました。ただし、会場が手狭となり、一部の席に 机を用意することができなかったことをお詫びいたします。いくつかの講演の 詳細な内容については、TRONWARE vol.47 に掲載されていますので、そちらをご覧ください。
今回のセミナーでは、海外から招待講演者を呼んだことで、招待費用や同 時通訳の費用により大幅な赤字が予想されました。そこで、ITRON をサポート するツール等のベンダにセミナーへの協賛を呼びかけたところ、以下の各社か ら協賛をいただくことができました。この場を借りてお礼申しあげます。
(株)アドバンスドデータコントロールズ アルシスKEE(株) アンドールシステムサポート(株) (株)エーアイコーポレーション エルグ(株) キャッツ(株) |
(株)ソフィアシステムズ テスコ(株) (株)電産 東芝情報システム(株) 日本シグナスソリューションズ パーソナルメディア(株) |
なお、来年度も今年と同様の時期に ITRONオープンセミナーを開催する計 画です。開催方法や内容についてご意見をお持ちの方は、ITRON専門委員会ま でお寄せいただけると幸いです。
ここでは、ITRON仕様準拠製品登録制度に最近登録された製品の内、前号で 紹介できなかった RX116, RX136, RX320, RX423, HI8-2600 について、簡単な 紹介を行います。なお、誌面の関係で、MR32R の紹介は次号で行います。
RXシリーズには、RX116 (V20, V30, V40, V50, V20HL, V30HL, V40HL, V50HLに対応)、RX136 (V33A, V53Aに対応)、RX320 (V25, V35, V25+, V35+に 対応)、RX423 (V55PIに対応) の4つの製品があります。
HI8-2600 は、シングルチップマイクロコンピュータ H8Sシリーズ用の μITRON仕様準拠のリアルタイムOS です。
μITRON仕様 Ver 2.0 に準拠しています。また、可変長メモリプール、同 期通信のタイムアウト機能等、μITRON3.0仕様の機能もサポートしています。
最大割込み禁止時間は 7μs、タスク切換時間は 16μs (wup_tsk システム コール処理時間) と高いリアルタイム性能を実現しています。(条件:H8Sマイ コン内蔵ROM/RAM使用、20MHz動作)
共有スタック機能、タイムアウト機能の有無など、RAM使用量を小さくする 設計がされています。また、OS のライブラリを結合するだけで使用するシス テムコールのみが組み込まれ、最適な OS が構築できます。カーネルのプログ ラムサイズは、最小 1.0KB、最大 17.6KBです。
弊社製 Cコンパイラを対象としたシステムコールインタフェースライブラ リを提供しています。弊社製 Cコンパイラの割込みハンドラ記述機能を用い、 割込みハンドラを全て C言語で記述することができます。
弊社の E7000エミュレータ用にマルチタスクデバッガを用意しています。 本デバッガにより、エミュレータからタスクなどの状態参照、システムコール の発行、システムコールの発行履歴を表示することができます。
株式会社日立製作所 半導体事業部 マイコン製品技術部
〒100 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 (日本ビル)
TEL: 03-5201-5022 (ダイヤルイン)
FAX: 03-5200-5561
ここでは、ITRON に関連する開発ツールやミドルウェアについて、簡単な 紹介をします。
組み込みシステムは、複数の外部イベントからの処理要求をリアルタイム に受け付け、これを処理することが要求されます。つまり、時間的制約を受け ながら動作することが義務づけられた「時間拘束型システム」といえます。ま た、制約時間内に処理を終えないと致命的な結果 (混乱・事故) を招くため社 会的に重い責任が課せられます。
これらソフトウェア設計では、「処理内容 (アルゴリズム)」の他に「制限 時間 (タイミングデットライン)」内に応答が得られるよう設計する必要があ り、従来のソフトウェア設計と比べ設計時の負担は大きなものがあります。
CARDtoolsは、このように開発が厳しくなってきている組み込みシステムの ソフトウェア設計を強力に支援し、ITRON仕様OS のアプリケーションにおける タイミング上のリスクを設計の上流工程で回避することができます。
主な機能は、次の通りになります。
7月より待望の CARDtools PC版がリリースされました。手軽に使って頂け る ITRONを活用したアプリケーションの設計を支援するデザインツールとして 最適です。弊社では、毎月紹介セミナーを開催しておりますので興味のある方 はお問い合わせをして下さい。
東京都品川区南品川2-15-8
アンドールシステムサポート株式会社
TEL: 03-3450-8101
FAX: 03-3450-8109
先端開発システム部 CARDtools担当まで
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