(社)トロン協会 ITRON部会
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ITRON部会では、組込みシステムにおけるリアルタイムOSの利用動向に関するアンケート調査を、1999年11月から2000年1月にかけて実施いたします。このアンケート調査は、組込みシステムの開発技術者を主な調査対象として、リアルタイムOSの利用の現状や問題点などについて調査するもので、ITRONプロジェクトの今後の方針決定や広報活動に役立てるために、毎年実施しているものです。
今年度のアンケートは、例年と同様の調査項目に、家電製品のネットワークの動向に関する調査項目を追加した内容となっています。アンケート調査票は、11月から12月にかけて、組込みシステムに関連する展示会の会場や郵送などの方法で配付する予定です。また、インターネット上でwebを用いて回答できるようにすることも計画しています。
過去のアンケート調査の結果は、ITRONプロジェクトホームページで公開しており、今回の調査結果についても、同様の形で公開する予定です。アンケート用紙がお手元に届きました際には、何卒ご協力いただけるようお願い申し上げます。
ITRON部会では、1998年10月に公開したJTRON2.0仕様の改訂に向けての検討作業を開始します。具体的な改訂項目は、検討作業の中で決まることになりますが、現時点では次のような項目が検討対象に挙がっています。
なお、改訂に向けての検討作業はITRON部会の下に設置するJTRON仕様WGで行い、1999年度内をメドに仕様の改訂を行う計画です。
μITRON4.0仕様研究会 デバイスドライバ設計ガイドラインWGでは、 1998年4月に活動を開始して以来、μITRON仕様カーネル用のデバイスドライバを設計する場合のガイドラインについて検討してきましたが、この度、一般からの意見を求めるために、中間報告を公開することとなりました。
中間報告では、デバイスドライバという用語が誤解を招きやすいことから、デバイスドライバに代えて Device Interface Component (DICと省略される) という用語を用いており、デバイスを扱う最低限のインタフェースソフトウェアである Primitive DIC (PDIC) と、その上に構築され PDIC に機能を追加する General DIC (GDIC) からなる階層モデルを提示しています。その上で中間報告は、プロセッサや OS に依存せずに PDIC を記述するためのガイドラインと、GDIC の設計ガイドラインを提示することを狙っています。また、PDIC をポータブルにするための前提となる割込み処理モデルについて解説しています。この割込み処理モデルについては、デバイスドライバ設計ガイドラインWGで検討された結果が、すでにμITRON4.0仕様に取り込まれています。
デバイスドライバ設計ガイドラインは、システムに求められる要件やデバイスの多様性から、検討作業に長い時間がかかっています。公開する中間報告には、まだ不完全な箇所が数多く残っていますが、検討の中間結果を公開して一般からの意見を求めることで、より良いガイドラインの作成を狙うものです。中間報告をご一読の上、ご意見をいただければ幸いです。また、μITRON4.0仕様研究会は、どなたでも参加できるオープンな研究会です。検討活動へ貢献する意志のある方の参加をお待ちしています。
ITRON部会ではこの度、μITRON4.0デバッギングインタフェース仕様暫定版を公開し、一般からのご意見を求めることとなりました。
μITRON4.0デバッギングインタフェース仕様は、μITRON4.0仕様のリアルタイムカーネルとデバッグ環境 (デバッガ、ICEなど) のRTOSサポート機能との間のインタフェースの標準仕様を定めるもので、μITRON4.0仕様研究会 デバッギングインタフェース仕様WGにおいて検討作業を行っています。1999年2月より、月に1回のペースでミーティングを開催し検討作業を行ってきましたが、10月までの検討でインタフェース仕様の基本的な枠組みが固まったため、評価のための実装作業を行うことになりました。またそれと並行して、評価実装のベースとなる仕様の暫定版を公開して、一般からのご意見を求めることになりました。
μITRON4.0デバッギングインタフェース仕様では、8ビットや16ビットプロセッサを用いたシステムなど、ターゲットシステム側に計算資源の余裕がない場合にも適用できるようにするために、カーネルにデバッグサポート機能を追加するのではなく、ホストシステム上で動作するデバッグ環境側にRTOSサポート機能を持たせています。具体的には、RTOSをサポートするデバッグ機能を提供するモジュール (これを、RTOSインタフェースモジュールと呼んでいる) を、 RTOSメーカが提供し、デバッグ環境にプラグインする枠組みになります。そのため、デバッギングインタフェース仕様で規定される内容は、 RTOSインタフェースモジュールをプラグインするためのインタフェース仕様が中心になっています。
ITRON部会では、従来、ITRON仕様準拠製品登録制度へ登録された製品に関連して、必要な場合にはメーカーコードの割当てを行っていましたが、製品の開発段階でメーカーコードの割当てを受けたいという要望を受けて、製品化した時点でITRON仕様準拠製品登録制度へ登録することを条件に、メーカーコードを事前に割り当てることになりました。
また従来、大学または研究機関が開発し、製品化されないカーネルに対しは、ITRON仕様準拠製品登録制度の登録対象にならず、メーカーコードが割り当てられないという問題がありましたが、大学または研究機関が開発したカーネルのために以下のメーカーコードを割り当て、さらに研究室単位にカーネルの識別番号の上位8ビットに用いる値を割り当てることとなりました (ITRONニュースレター No.39 に掲載されている個人または個人事業者が開発したカーネルと同様)。
0x0002 大学・研究機関
いずれの件についても、詳しくはITRON部会までお問い合わせください。
1999年10月1日時点で、ITRON部会が編集し、発行されているITRON関連の書籍は別表の通りです。ご希望の方は、各発売元にお問い合わせ下さい。
μITRON3.0標準ハンドブック 改訂新版には、μITRON3.0仕様の最新バージョン (Ver 3.02.02) が収められています。旧版のμITRON3.0標準ハンドブック (Ver 3.00.00) から Ver 3.02.00 への改訂点は、ITRON標準ガイドブック2 に掲載されています。Ver 3.02.00 から Ver 3.02.02 へは、構成の変更や説明の追加だけで、仕様の技術的な内容の変更はありません。
ITRON・μITRON標準ハンドブックは、μITRON Ver 2.0 と ITRON2 の仕様書を1冊にまとめたものです。発行元で品切れとなったため、発行元のホームページで公開されています。
ITRON標準ガイドブック'92-'93はμITRON仕様 Ver 2.0 と ITRON2仕様を、ITRON標準ガイドブック2 はμITRON3.0仕様をメインのターゲットとして作成されています。前者はタイトルに過去の年号が含まれていますが、μITRON仕様 Ver 2.0 や ITRON2仕様を使われている場合には、現在でも有効に活用できます。
書籍名 | 分類 | 価格 | 発行元 | 発行年 | ISBN番号 |
---|---|---|---|---|---|
ITRON・μITRON標準ハンドブック | 和文仕様書 | 発行元品切れ | パーソナルメディア | 1990 | ISBN4-89362-079-7 |
μITRON3.0標準ハンドブック 改訂新版 | 和文仕様書 | 4,000円 | パーソナルメディア | 1997 | ISBN4-89362-154-8 |
μITRON4.0仕様 (Ver. 4.00.00) | 和文仕様書 | 5,000円 (税込み) | トロン協会 | 1999 | − |
ITRON標準ガイドブック'92-'93 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1992 | ISBN4-89362-197-6 |
ITRON標準ガイドブック2 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1994 | ISBN4-89362-133-5 |
ITRON TCP/IP API仕様 (Ver. 1.00.01) | 和文仕様書 | − | トロン協会 | 1998 | − |
JTRON2.0仕様 (Ver. 2.00.00) | 和文仕様書 | − | トロン協会 | 1998 | − |
μITRON Specification Ver 2.01.00.00 | 英文仕様書 | 12,000円 | トロン協会 | 1989 | − |
ITRON2 Specification Ver 2.02.00.10 | 英文仕様書 | 15,000円 | トロン協会 | 1990 | − |
μITRON3.0 Specification Ver 3.02.00 | 英文仕様書 | − | トロン協会 | 1994 | − |
μITRON3.0: An Open and Portable Real-Time Operating System for Embedded Systems | 英文仕様書 | $40.00 | IEEE CS Press | 1997 | ISBN0-8186-7795-3 |
JTRON2.0 Specification (Ver. 2.00.00) | 英文仕様書 | − | トロン協会 | 1999 | − |
ITRON部会では、9月26日(日)〜30日(木) に米国カリフォルニア州 SanJose の San Jose Convention Center で開催された Embedded Systems Conference (ESC) においてブースを出展するとともに、その会期中の 9月29日(水) に、展示会場近くのホテルにおいて ITRON International Meeting'99 を開催しました。
ITRON International Meeting '99 は、米国で開催する ITRON関係の会議としては3回めになるもので、米国において ITRON仕様に関わっている方にプロジェクトの最近の活動状況を紹介するとともに、ITRON仕様に関連する製品を紹介することを目的としています。今回の会議は、前回と同様、米国を中心にオープンな標準化活動を行っている The Open Group との協力で開催し、JETRO (日本貿易振興会) からの援助を頂きました。
これまでの会議では、米国において開発されているITRON仕様関連製品の紹介に重点を置いてきましたが、今回の会議では、日本で生まれた新しい技術を米国に紹介することにも力点を置きました。また、特別講演として、Embedded Developers Journal 編集長の Steven Liebson 氏による米国の組込みシステム開発の現状に関する調査結果の紹介と、トヨタ自動車の佐藤浩司氏によるμITRON仕様カーネルの自動車応用に関する講演を行いました。
会議には、講演者やITRON部会の関係者も含めて80名を超える参加があり、満足すべき結果でした。会議の開催概要は次の通りです。
同日の夕方には懇親会を開催し、こちらにも多くの出席者をいただきました。懇親会では、ITRON部会より、ITRON部会の米国支部 (ITRON Committee US Chapter) の設立に向けての計画の紹介を行い、それ関する議論も活発に行われました。
また、ITRON部会では、例年通り ESC の展示会に出展し、ITRON仕様に関する広報を行いました。今年度は、展示会に対する出展申込が多く、ITRON部会でブースを取ることができなかったため、シグナス・ソリューションズ社のご好意によりブースの一角をお借りし、μITRON仕様、ITRON TCP/IP API仕様、 JTRON仕様について紹介する展示を行いました。シグナス・ソリューションズ社のブースは、展示会場中央付近の人通りの多い場所にあり、例年より多くの方にITRONプロジェクトの紹介を行うことができました。また、ITRONのロゴと "We Support ITRON Project" の文字の入ったスタンドを、28社のブース (一部、スタンドを手渡したが設置を確認していない会社を含む) に置かせて頂きました。
なお、ITRON International Meeting '99 と ESC については、関連する記事が TRONWARE誌 Vol.60 に掲載されていますので、そちらもご参照くだされば幸いです。
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