(社)トロン協会 ITRON部会
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トロン協会では、2001年度から協会内の部会の編成を大幅に変更することになりました。具体的には、従来のITRON部会、BTRON部会などをすべて廃止し、新たに「トロン先進技術研究グループ」「次世代リアルタイム基盤グループ」「多文字OS応用グループ」の3つのグループを設置しました。また、次世代リアルタイム基盤グループの下には5つのWGが設置されます。
これまでITRON部会が担当してきた役割の中で、μITRON4.0仕様を含むITRON仕様書の保守・バージョンアップといった技術的な検討は、今後は、次世代リアルタイム基盤グループの下に設置されるバージョンアップWGが担当することになります。また、普及・広報活動については、上記の3つのグループとは別に設置されるマーケティンググループが統括することになります。
バージョンアップWGでは、今年度、μITRON仕様へのメモリ保護機能の導入に関する仕様検討 (ITRONニュースレター No.49 参照) に重点を置いて活動を進めていく予定です。また、必要に応じて、これまでに作成したITRON仕様のバージョンアップにも取り組む予定です。今後とも、ITRON仕様を発展させる活動に対して、ご支援・ご協力いただけると幸いです。
なお、この部会再編に伴い、トロン協会の活動の広報体制についても整理することとなり、ITRONニュースレターはこの号をもって最終号とさせていただきます。長い間おつきあいくださった皆様に感謝します。
なお、ITRONニュースレターのバックナンバーは、ITRONプロジェクトホームページで読むことができます。
ITRON部会では、1999年6月に公開したμITRONリアルタイムカーネル仕様の最新版であるμITRON4.0仕様の保守作業を行っていますが、この度、これまでに発見された問題点や誤り等を修正した改訂版を作成・公開することになりました。
この度公開する改訂版は、μITRON4.0仕様 (Ver. 4.01.00) で、これまで同様、全文をPDF形式でITRONプロジェクトホームページからダウンロードすることができます。また、印刷・製本したものを、トロン協会から販売します。
改訂の内容は、細部の不都合の修正や誤りの修正、曖昧な文言の修正がほとんどで、仕様の大きい修正は含まれていません。ITRONプロジェクトホームページからは、旧版 (Ver. 4.00.00) との違いを記述したファイルもダウンロードすることができます。仕様に大きい修正がないことから、改訂版についても、これまで通り「μITRON4.0仕様」と呼ぶこととしました。
前号を発行して以降、2001年6月1日までに、新規に登録されたITRON仕様準拠製品は別表の通りです。最新の全登録製品リストは、ITRONプロジェクトホームページにあります。
仕様 | 製品名 | 対象プロセッサ | 会社名 |
---|---|---|---|
μITRON3.0 | RX850 | V850ファミリ | 日本電気(株) |
RX850Pro | V850ファミリ | ||
RX4000 | VR (VR4100, VR4300, VR5432) | ||
μITRON4.0 | mKernel | Z80 | 川上昌之 |
2001年6月1日時点で、ITRON部会が編集し、発行されているITRON関連の書籍は別表の通りです。ご希望の方は、各発売元にお問い合わせください。
μITRON3.0標準ハンドブック 改訂新版には、μITRON3.0仕様の最新バージョン (Ver 3.02.02) が収められています。旧版のμITRON3.0標準ハンドブック(Ver 3.00.00) から Ver 3.02.00 への改訂点は、ITRON標準ガイドブック2 に掲載されています。Ver 3.02.00 から Ver 3.02.02 へは、構成の変更や説明の追加だけで、仕様の技術的な内容の変更はありません。
ITRON・μITRON標準ハンドブックは、μITRON Ver 2.0 と ITRON2 の仕様書を1冊にまとめたものです。発行元で品切れとなったため、発行元のホームページで公開されています。
ITRON標準ガイドブック'92-'93はμITRON仕様 Ver 2.0 と ITRON2仕様を、ITRON標準ガイドブック2 はμITRON3.0仕様をメインのターゲットとして作成されています。前者はタイトルに過去の年号が含まれていますが、μITRON仕様 Ver 2.0 や ITRON2仕様を使われている場合には、現在でも有効に活用できます。
書籍名 | 分類 | 価格 | 発行元 | 発行年 | ISBN番号 |
---|---|---|---|---|---|
ITRON・μITRON標準ハンドブック | 和文仕様書 | 発行元品切れ | パーソナルメディア | 1990 | ISBN4-89362-079-7 |
μITRON3.0標準ハンドブック 改訂新版 | 和文仕様書 | 4,000円 | パーソナルメディア | 1997 | ISBN4-89362-154-8 |
μITRON4.0仕様 (Ver. 4.01.00) | 和文仕様書 | 5,000円 (税込み) | トロン協会 | 2001 | − |
μITRON4.0検定仕様書(案) | 和文仕様書 | − | トロン協会 | 2001 | − |
ITRONデバッギングインタフェース仕様 (Ver. 1.00.00) | 和文仕様書 | 3,000円 (税込み) | トロン協会 | 2001 | − |
ITRON TCP/IP API仕様 (Ver. 1.00.01) | 和文仕様書 | − | トロン協会 | 1998 | − |
JTRON2.1仕様 (Ver. 2.01.00) | 和文仕様書 | − | トロン協会 | 2000 | − |
ITRON標準ガイドブック'92-'93 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1992 | ISBN4-89362-197-6 |
ITRON標準ガイドブック2 | 和文参考書 | 3,500円 | パーソナルメディア | 1994 | ISBN4-89362-133-5 |
μITRON Specification Ver 2.01.00.00 | 英文仕様書 | 12,000円 | トロン協会 | 1989 | − |
ITRON2 Specification Ver 2.02.00.10 | 英文仕様書 | 15,000円 | トロン協会 | 1990 | − |
μITRON3.0 Specification Ver 3.02.00 | 英文仕様書 | − | トロン協会 | 1994 | − |
μITRON3.0: An Open and Portable Real-Time Operating System for Embedded Systems | 英文仕様書 | $40.00 | IEEE CS Press | 1997 | ISBN0-8186-7795-3 |
JTRON2.0 Specification (Ver. 2.00.00) | 英文仕様書 | − | トロン協会 | 1999 | − |
ここでは、ITRON仕様準拠製品登録制度に新規に登録された製品について、簡単な紹介をします。
V850ファミリ・リアルタイムOS RX850は32ビットマイクロコンピュータV850ファミリ用の製品です。RX850では、Cコンパイラで使用するレジスタの本数を指定するコンパイル時オプション指定に対応したオブジェクトを提供していますので、用途に応じて組込むオブジェクトを選択することができます。
組込み用途に使用されるため、最大カーネルサイズを約7Kバイトに抑えています。また、RX850をユーザ・アプリケーションとリンクする際にはお客様の使用されるシステムコールだけを組込みますので、最適なコードサイズになります。
実行タスクが存在しない場合、RX850はパワー・セーブ機能を使用します。RX850では、パワー・セーブ・モードをユーザがHALT, IDLE, STOPの中から選択できます。
ユーザがシステム構築を容易にできるように、RX850の参照するテーブルを生成するツール(コンフィギュレータ)を提供します。また、コンフィギュレータでは、使用するメモリ容量を算出しますので、メモリ容量の見積もりが簡単にできます。
タスク・ディバッガとシステム・パフォーマンス・アナライザを提供しています。タスク・ディバッガは、RX850の管理する資源の状態表示ができます。また、システム・パフォーマンス・アナライザは、タスクの実行遷移をグラフィカルに表示します。
E-mail: s-info@saed.tmg.nec.co.jp
URL: http://www.ic.nec.co.jp/micro/
V850ファミリ・リアルタイムOS RX850Proは32ビットマイクロコンピュータV850ファミリ用の製品です。RX850Proは、RX850に比べると、動的なタスク生成などが可能になっています。また、カーネルや管理テーブルのメモリ配置の制限もなくなり、全メモリ領域に配置可能になっています。
組込み用途に使用されるため、最大カーネルサイズを約13Kバイトに抑えています。また、RX850Proをユーザ・アプリケーションとリンクする際にはお客様の使用されるシステムコールだけを組込みますので、最適なコードサイズになります。
実行タスクが存在しない場合、RX850Proはパワー・セーブ機能を使用します。RX850Proでは、パワー・セーブ・モードをユーザがHALT, IDLE, STOPの中から選択できます。
ユーザがシステム構築を容易にできるように、RX850Proの参照するテーブルを生成するツール(コンフィギュレータ)を提供します。また、コンフィギュレータでは、使用するメモリ容量を算出しますので、メモリ容量の見積もりが簡単にできます。
タスク・ディバッガとシステム・パフォーマンス・アナライザを提供しています。タスク・ディバッガは、RX850Proの管理する資源の状態表示ができます。また、システム・パフォーマンス・アナライザは、タスクの実行遷移をグラフィカルに表示します。
E-mail: s-info@saed.tmg.nec.co.jp
URL: http://www.ic.nec.co.jp/micro/
VRシリーズ・リアルタイムOS RX4000は、64ビットマイクロプロセッサ VRシリーズ用の製品です。RX4000は、RXシリーズの中でもっとも機能が豊富な製品で、オリジナルシステムコールとしてシグナルハンドラをサポートしています。
組込み用途に使用されるため、最大カーネルサイズを約23Kバイトに抑えています。また、RX4000をユーザ・アプリケーションとリンクする際にはお客様の使用されるシステムコールだけを組込みますので、最適なコードサイズになります。
実行タスクが存在しない場合、RX4000はパワー・セーブ機能を使用します。RX4000では、パワー・セーブ・モードをユーザが指定できます。
ユーザがシステム構築を容易にできるように、RX4000の参照するテーブルを生成するツール(コンフィギュレータ)を提供します。また、コンフィギュレータでは、使用するメモリ容量を算出しますので、メモリ容量の見積もりが簡単にできます。
タスク・ディバッガとシステム・パフォーマンス・アナライザを提供しています。タスク・ディバッガは、RX4000の管理する資源の状態表示ができます。また、システム・パフォーマンス・アナライザは、タスクの実行遷移をグラフィカルに表示します。
E-mail: s-info@saed.tmg.nec.co.jp
URL: http://www.ic.nec.co.jp/micro/
mKernelは、μITRON4.0仕様に準拠した組み込み制御用のリアルタイム・マルチタスクカーネルです。
8ビットマイクロプロセッサ Z80 (カーネル製品型式: mK010301)
μITRON4.0仕様の自動車制御用プロファイル規定の静的API機能を除く機能をサポートしています。
サービスコールをアセンブリ言語で呼び出すインタフェースをサポートしています。また,タスク,割込みハンドラ,周期ハンドラおよびCPU例外ハンドラは,C言語およびアセンブリ言語で記述できます。
カーネルのソースファイル (アセンブリ言語で記述) を提供しています。開発ツールの仕様にあわせてソースファイルを変更することが可能です。
〒919-0101 福井県南条郡今庄町湯尾126-8-1
川 上 昌 之
E-mail: kawa@ma.interbroad.or.jp
情報処理学会論文誌 Vol.42 No.6 (2001年6月号) に、ITRON仕様に関する論文が2編掲載されました。2編の論文はいずれも豊橋技術科学大学の研究グループによるものです。1編は、本田晋也、高田広章の両氏による「μITRON4.0仕様の例外処理のための機能とその評価」というタイトルの論文で、μITRON4.0仕様の標準化で採用されたRISC的なカーネルという考え方と、それが例外処理機能とオーバランハンドラ機能にどのように反映されたかについて述べ、仕様に準拠したカーネルを実装することで、仕様が目標を達成していることを示しています。もう1編は、若林隆行、高田広章の両氏による「ITRONデバッギングインタフェース仕様における標準化アプローチとその適応性に関する評価」というタイトルの論文です。タイトルの通り、ITRONデバッギングインタフェース仕様の標準化アプローチについて述べ、それに基づいて策定された仕様を適応性の面から評価したものです。
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